令和4年度幼保交流研修会【保育士等キャリアアップ研修】
幼児教育研修
第1回幼児教育研修
日時
令和4年6月16日(木曜日)午前8時30分~午後5時15分
会場
黒田庄こども園
講師
大阪総合保育大学児童保育学部
瀧川光治教授
内容
- 公開保育
- 講義と演習
- 幼児教育の意義・保育の環境について
- 幼児の発達に応じた保育内容や環境構成
- 指導計画・記録及び評価、小学校との接続
演題
子ども一人ひとりの姿を丁寧に読み取る保育
~トキメキ、ヒラメキ・イメージ、気づき・発見・できた!の視点~
公開保育の様子
公開保育
ー保育参観の前にー
- 保育を見る3つの視点とポイントを聞きました。
- 子どもの遊びの見方
子どもたちは、遊びの中でどんな姿や表情だったか。
トキメキ(心わくわく)
ヒラメキ、イメージ(ああかな、こうかな)
気づき・発見・できた(やってみた)
- 保育環境(物的環境、環境構成)の見方
保育環境を見て、『いいね!』を見つけて、取り入れよう。
- 子どもの発達に応じた保育者のかかわり
自分だったらどうする? 先生のかかわり方を見て学ぼう。
0歳児
安心できる保育者とのかかわりの中で、ゆったりと過ごしていました。
保育者と一緒に音のなるおもちゃやぽっとん落としなど、手作りおもちゃで遊んでいました。
1~2歳児(サーキット遊び)
1~2歳児は、日に日に体が発達し、色々な動きを試したいという気持ちも大きくなっていきます。
段ボールで作ったプチプチや凸凹道。ハイハイしたり歩くと、手足の感触が気持ちいいな。(1歳児)
段差のある積み木もチャレンジ。子どもたちのやってみたい意欲を大切に、一人一人の発達段階に応じて、安全に遊べるよう手助けをしたり、声をかけることができるよう保育者同士で連携して見守っています。(1歳児)
1番人気は、ぐらぐらフープ。マットを通る時に揺れるのが楽しくて大喜び!「力持ちだから手伝うよ。」と揺らすお手伝いをする子も…(2歳児)
はしご、落ちないように、忍者みたいに渡れるかな。
バランスに気を付けながら平均台を渡ったり、目的物に向かってジャンプしたり、体を巧みに動かし、繰り返し遊んでいました。(2歳児)
3歳児(コーナー遊び)
3歳児は、自分で好きな遊びを選んだり、イメージを膨らませてなりきって存分に遊ぶことで自己発揮できるようになっていきます。
ままごと遊び、赤ちゃんのお世話をしながらバーベキュー。
赤ちゃんがお熱になっても大丈夫。隣に病院があり、薬も出してくれます。
保育者が、子どもと一緒になりきって遊ぶことで更にイメージが膨らみ、遊びが広がっていきます。
ブロックや電車コーナー、電車をつなげたり道を広げたり、集中して遊んでいます。
4歳児(ジュースやさん、キャンプごっこ)
給食室の野菜の皮をもらったり、家から子どもたちが持ってきた花や野菜がジュースに変身。毎日実験していた遊びが、ジュースやさんにつながりました。
「支払いは、ペイペイで」
レジでは、お客さんは携帯を持ってお支払い。イートインコーナーもありました。
キャンプごっこは、テントが張られ、バーベキューパーティーも行っていました。テントの準備も友だちと協力して進めていきます。
遊ぶ前に今までのドキュメンテーションを見て、今日の遊びを話し合ったり、遊び後の振り返りでは、子どもたちの気づきや考えたこと等を保育者がホワイトボードに書いて、明日の遊びにつなげていました。
5歳児(紙飛行機遊び、しゃぼん玉・バブルアート)
紙飛行機遊び。今までのドキュメンテーションを見ながら、今日の遊びの進め方やルール決めをしてから、遊びが始まりました。
自分たちで作った的に入れたり当てたりして楽しんでいました。
しゃぼん玉・バブルアートでは、自分の好きな色を選び、配合します。たくさんの泡を作って、そしてその泡で紙を染めていきます。子どもたちは、友だちと一緒に試したり、比べたりしながら大胆に楽しんでいました。
公開保育後(事後研修)
公開保育後は、各担任から今日の保育に至るまでの子どもたちの様子や遊びの経過、保育を進めていく中で悩んだこと、これからどんなことにつなげていきたいかなどを聞きました。参加者からの感想・質問も積極的でした。
ー瀧川先生からのコメントー
- 子どもたちの心が動く『トキメキ』の多い楽しい保育
- 子と保育者が同じものを一緒に見る。共同注意は、コミュニケーションの土台
- 保育者の温かなまなざしやかかわり・言葉かけにより、子は安心と信頼を持って過ごせている。
午後の研修
午後からは、今日の公開の活動の写真を交えながら学んでいきました。
黒田庄こども園保育者も参加し、幼児理解や発達段階に応じた遊びについて共通理解を図りました。
保育室に多く掲示してあったドキュメンテーションについても、保育活動の見える化・保護者に意図を伝える手段、そして子どもたちの遊びをイメージ化する手立てになることを、改めて学ぶとともに、更に工夫できる部分を具体的に聞くことができました。
また、小学校への接続では、写真や動画を見ながら、10の姿や5領域の視点ではどんなことが育っているかを考えていきました。
多くの学びと気づきを得た研修となりました。
6月16日幼児教育研修会受講者感想(PDFファイル:334.1KB)
第2回幼児教育研修(小学校との合同研修)
日時
令和4年7月28日(木曜日)午前9時~正午、午後1時15分~3時15分
会場
しばざくら幼稚園
講師
兵庫教育大学大学院学校教育研究科
鈴木正敏准教授
内容
公開保育と講義・演習
小学校との接続・連携(スタート・アプローチカリキュラム)
演題
「幼児教育から小学校教育への円滑な接続」
研修の様子
今回の研修は市内全てのこども園と小学校の管理職や教諭が集まり、園小の接続について共通理解を図るため、公開保育や鈴木先生の講義を行いました。
まず初めに、園の指導案とクラス便りを見ながら、各学年のこれまでの遊び(保育)の経過を振り返りました。
〇保育を見る視点
・4歳児…水やボールをピタゴラスイッチみたいに流したい
・5歳児…お風呂を作りたい
上記の子どもの思いをふまえながら、「色々と考えて試行錯誤している姿」「砂や水を使った科学的な遊びの中で、小学校の学習にどうつながるのか」を考える。特に5歳児は、グループで話し合う姿や「こうしよう!」と提案して子ども達で進めている姿を見ていく。園の指導案に入っているクラス便り(保護者向けに配布されたもので、今日の活動までの様子が書かれたもの)は活動が分かりやすい。
1.公開保育
4歳児 ピタゴラスイッチを作って遊んでいました
昨日までのピタゴラスイッチをドキュメンテーションで振り返り、2つのグループに分かれて今日の遊びを相談しました。
昨日まで作っていた方法で組み立てボールを転がします。1つのグループはボールが落ちてくるところに、缶バケツを並べてどのバケツに入るか楽しんでいます。
暑い日だったので遊び終わるとテラスに寝転んで休憩しています。片付けの前に、ホースで水をかけてもらい大はしゃぎ。降園前に、今日の振り返りをしていました。
5歳児 グループ活動(温泉作り、水流し、水バッシャーン)から最後はみんな一緒に!
温泉には沢山の水が必要です。でも毎日はもったいない。そこで3歳児のビニールプールの水を自分たちのお風呂に入れようと考えました。水流しは、ビニールプールから温泉までの水路を考え、ペットボトルをつないでいます。何メートルあればいいのかな?巻き尺で測っています。
水バッシャーンは、容器の補強をした後、さあ、実験!容器に水がいっぱいになると容器が傾き水が流れ出し・・・・バッシャーンとひっくり返ることを楽しんでいます。水の量や勢い、容器の置き場所等、考えながら繰り返し繰り返し試しています。
長くつないだペットボトルは、クラスみんなの協力が必要です。最後はクラス全員でペットボトルを持って・・・・。でも残念、途中のつなぎ目で水が漏れて…。
温泉作りは、まず水で湿らせ掘り直したり側面を硬くした後、ブルーシートを敷き、協力して水を入れました。すべての活動が終わった後、クラス全員が温泉に入り、リラックスしていました。
活動後は、一つ一つの今日の遊びの写真を見ながら、活動の振り返りをしていました。また、その振り返ったことを写真に加えることで、ドキュメンテーションが作られていきます。
2.講演 「幼児教育から小学校教育への円滑な接続」
「個別最適な学び」と「共同的な学び」を一体的に充実
「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業
上記のような、令和の日本型学校教育の構築には、園と小の接続期がスムーズになるための、実態把握や就学前教育を活かしたカリキュラムが必要となってきます。
【鈴木先生から】午前中の公開保育の話も交えながら、幼児教育の学びやその姿から小学校にどう繋いでいけばよいかを話してくださいました。
・遊びや活動の写真が保育室にあると、子ども達と一緒に思い出しながら振り返りができること。
・子どもが主体となった遊びや活動をとおして、様々な経験を積んでいくこと。
・特に、5歳児は、主体的な活動や遊びにおいて以下のような経験ができるようになる。(『書いてまとめる』『図解で説明する』『手順を考える』『メモする』『他の人に尋ねる』『仲間に分けること』『実験して試行錯誤する』等)
・小学校(園も含め)の授業では、成功体験ばかりになりがち。失敗した経験を含め多様な主体的な経験を積み重ねることが大切です。本日の5歳児の保育では、失敗しただけで終わらず、最後に「温泉に入って楽しかった!」で締めくくったことが良かった。
園と小学校がお互いの実践を見て、目指す子どもの姿について共通理解し、1年生はゼロからのスタートではないことに留意し、子どもの体験を活かした学習にすることが必要です。
今回の研修は、スタートカリキュラム、アプローチカリキュラムの前段階である「お互いの保育と教育を知る」そして知って理解したうえで、「どんな子を育てたいのか、その子がその子らしく生きるためにはどうしたらいいか」を、園小で一緒に考えていける機会になりました。
7月28日幼児教育研修会受講者感想(PDFファイル:375.5KB)
第3回幼児教育研修
日時
令和4年10月21日(金曜日)午前8時30分~午後5時15分
会場
黒田庄こども園
講師
大阪総合保育大学児童保育学部
瀧川光治教授
内容
- 公開保育
- 講義と演習
- 幼児教育の環境、幼児の発達に応じた保育内容、幼児教育
- 幼児教育の指導計画、記録及び評価
- 幼児教育の意義、小学校との接続
演題
子ども一人ひとりの姿を丁寧に読み取る保育
~トキメキ、ヒラメキ・イメージ、気づき・発見・できた!の視点~
公開保育の様子
1.公開保育を参観
各年齢の保育指導案から、公開保育のどんなところを見ると良いのかを、瀧川先生より伝えていただきました。
【各年齢のポイントやキーワード】
0歳児:一人一人の発達の差に応じた支援。
1歳児:0歳児から発達成長した部分。一人一人の好きを見つける。
2歳児:6月のサーキット遊びからの成長。
3歳児:遊びのイメージを共有しながら…。(○○になったつもり)
4歳児:環境を通しての遊び(更にイメージが膨らむための保育環境の意図)
5歳児:幼児期に育みたい10の姿を意識した保育
0歳児 保育室からアンパンマンパークへレッツゴー。
保育室からアンパンマンパークまで道のりを、自分のペースで歩く子、保育者と手をつないで歩く子、ハイハイする子、バギーや抱っこされている子。移動の中にも、一人ひとりの成長と本人の気持ちに応じた細やかな支援が見られます。
手作りのトンネルの中にも、アンパンマンのキャラクターがいます。
滑り台は滑るだけでなく、反対から登ることにも興味をもち、楽しんでいます。
0歳児は、ハイハイする姿が多くみられました。ハイハイすることで、背中、太もも、腕の筋肉が成長します。また、お座り・立つ・しゃがむ等で筋力や足首の柔軟、バランスをとることにもつながります。
1歳児 くぐったり、よじのぼったり、ぶら下がったり…
トンネルや鉄棒、段差をよじ登る等、繰り返し繰り返し遊んでいました。
ひたすら鉄棒にぶらさがったり、段差をよじのぼるところばかりの子も見られました。どうしても、3つの遊びを順番に経験させたくなりますが、繰り返し体を動かす経験や一人一人の好きな部分を見つけて、思いに寄り添うことが大切です。
2歳児 サーキット遊びが大胆に!
6月に比べ、ダイナミックな動きが見られました。ゆらゆらマット、鉄棒のぶら下がり、トランポリンでジャンプ、階段や一本橋を歩く等、様々な動きを取り入れて遊んでいます。何度も繰り返し、試せることを楽しんでいました。
特に、10月のサーキット遊びで取り入れてあったトランポリンは、2歳児の今の時期の体のバランス感覚がつくのに、効果的です。更に、素足というのも、発達の中でいいポイントです。
3歳児 魔女の世界へようこそ
自分で作った魔女の衣装を着て、ハロウィンバーガーを作って売ったり、友達と魔女の修行をしたりして遊んでいます。やりとりも増え、保育者や友達とのかかわりも楽しんでいます。
3歳児は、なりきること、つもりの世界が大切。
子どもたちは、ハロウィンの衣装を着たり、ハンバーガーを売ったり食べたりすることにより、自分が魔女になったつもりで遊び、イメージの共有につながります。
4歳児 忍者の修行、エイエイオー!
忍者の修行は、とっても大変。手裏剣投げ・水渡りの術・蜘蛛の巣くぐりの術・手裏剣対決等、友達と協力したり、競い合っています。
お城や手裏剣、修行の川や橋等も、いろいろな素材を使い、自分たちで作っています。ドキュメンテーションを見ながら、始まる前や振り返りをすることで、友達とイメージを共有できます。
5歳児 動物園つくり、お祭りハロウィン(グループ活動)
【動物園つくり】
グループの友達と思いを出し合い、自分の体より大きなゾウ、キリン、ライオンを作るには、どうしたらいいか検討中。事前に模造紙で作成した動物の設計図を廃材を見比べながら、意見を出し合っていました。
【お祭りハロウィン】
グループに分かれて、紙粘土や秋の自然物を活用したお菓子作りやお化け屋敷の準備を進めていました。
5歳児の指導案のねらいや内容に、【協同性、豊かな感性、思考力の芽生え、言葉による伝え合い】等、10の姿の視点が入っていました。遊びや活動を通して、育まれていく大事な部分です。普段の保育から、10の姿を保育者が意識していけるよう、指導案とともに、見える化できる手段として、有効なのが『ドキュメンテーション』です。
2 ドキュメンテーションつくり
午後の研修では、担当年齢ごとのグループでドキュメンテーションつくりのワークを行いました。
【1回目作成時のポイント】
- テーマ、タイトルを考える。シンプルに視点を絞って作る。
- 作ったドキュメンテーションから、トキメキとヒラメキを見つける。
- 伝えたいことが多くなり、どうしても、字がたくさんになりがちだが、写真は大きく、伝えたいことは簡潔にする。
【2回目作成時のポイント】
次に、ねらいや10の姿に視点をもち、作成しました。
2回目になると、グループの共通理解やねらいに対する意図等がスムーズにまとまり、短い時間で作成できました。10の姿を意識した保育やドキュメンテーションは0歳児からできることも、学びました。
【30分から1時間でできる園内研修】
- クラス写真から、10の姿にあてはめる。それを職員間で協議。
- 1枚の写真のドキュメンテーションつくり
- これまでに作ったドキュメンテーションを他学年で見せ合う。付せんにいいね!を記入する。
公開保育や講義、ドキュメンテーションつくりのワーク等、学びの多い1日となりました。
10月21日幼児教育研修会受講者感想(PDFファイル:292.6KB)
保育実践研修
第1回保育実践研修
日時
令和4年5月13日(金曜日)午後1時40分~5時
会場
西脇市茜が丘複合施設みらいえ
講師
神戸常盤大学教育学部こども教育学科
多田琴子教授
内容
演習とワークショップ
- 保育における環境構成
演題
「環境における教育」
研修の様子
自己紹介をしよう!
まずは自己紹介をしました。
「今日の自分を食べ物に例えると。その理由は?」の質問には、玉ねぎ、リンゴ、ロールキャベツ、ニンニク多めのキムチ、クロワッサン、餃子など、いろいろな食べ物が出てきました。自分の性格を伝えたり、クラスの様子を笑顔で話される姿は、とても温かい雰囲気で場が和みました。ちなみに、多田先生は、自分が漬けたヌカ漬けだそうです。いろんな野菜がいい感じに漬かっていく、でも日がたつとくさくなる…それも自分らしいのだそうです。笑顔で研修が始まりました。
環境による教育について
環境による教育について、3つの大切な視点やポイントがあります。
- 個の発達や特性に合わせた教育が大切であること。(乳幼児期の発達は未分化で個人差が大きい)
- 主体性・対話力が求められる時代のため、自ら考えて動く力や、問題解決能力が大切であること。一人で問題解決する力も、みんなで協力して問題解決していける力もどちらも必要になってくること。
- 上記の子どもの姿を目指すためには、意図して構成する保育環境・園内環境が必要であること。自然や人が織りなした必然や偶然の環境、子ども達の心が揺さぶられ、考える体験ができるような環境等を保育者が意図して構成していく。その経験の積み重ねが、子どもたちの非認知能力につながっていくということ。
保育環境は、ねらいをもって用意周到に考え構成しなければなりませんが、子ども達はその環境の中で試行錯誤できることが大切であることも分かりました。
園内マップ作り
保育環境・園内環境の大切さを学んだ後は、実際に、自分の園のマップを作りました。見本を参考にしながら、1,2歳児担当保育者は保育室、その他の保育者は園内マップを作成していきました。
マップの作り方
- 保育室マップ
配置、玩具やコーナー、区切りを具体的に記入 - 園内マップ
配置、遊具や木々、花壇の草花、玩具等を具体的に記入 - 持参した子ども達の実際に遊んでいる写真を貼っていく。
作成していくうちに、客観的に園庭や保育室を見ることができたり、自分の保育に必要だと思うものに気づいたり、振り返ったりすることができました。
作成したマップをドキュメンテーションへ
多田先生が、更にステップアップ、発展させる一つの提案として、ドキュメンテーション(保育の可視化)を挙げられました。
例えば、作成した園内マップに遊びや活動の様子の写真を貼り、子どもの体験による学び(保育のねらい内容)を記入すると、ドキュメンテーションになります。また、マップに毎日、毎月、毎年の子供の様子を少しずつ加筆修正していくと子どもの成長や発達する姿も可視化されます。
最後に多田先生から、環境による保育・教育について
- とりあえずやってみる、取り掛かること、やりながら改善はできる。
- この遊び(活動)を通して、どのような非認知能力が育つのか。育てたいのかを常に考えること。
- 何より、保育者も子どもも、楽しい毎日を送っていくこと。
締めくくりには、指の発達が促される乳児向けの手遊びを教えてくださり、最後まで和やかな雰囲気の中、研修が終了しました。
5月13日保育実践分野受講者感想 (PDFファイル: 316.4KB)
第2回保育実践研修
日時
令和4年8月9日(火曜日)午後1時40分~5時
会場
市民交流施設オリナス はぐくむスタジオ
講師
神戸常盤大学教育学部こども教育学科
多田琴子教授
内容
演習とワークショップ
- 子どもとの関わり方
演題
「子どもの理解を基にした保育」~子どもの気持ち・保育者の気持ち~
研修の様子
前回の研修後のアンケートで「多田先生の手遊びが楽しかった。もっと教えてほしい」というリクエストに応え、まず多田先生から「ニャンチュー」の手遊びを教えていただきました。両手をネズミとネコにして、二人でペアになって楽しみました。
1.グループワーク
今回の研修は「子どもとの関わり方」について学びます。先ず参加者が事前に作成した事例を基に、担当学年ごとに分かれて以下の内容を話し合いました。
【話し合う内容】
・クラスの子どもの今(子どもの自慢を。見えている課題は?)
・かかわり方での悩み(生活の中で。遊びの中で。クラス活動の中で。)
・かかわりの中での「いいね!」(楽しい嬉しい出来事。うまくいったぞ!)
担当学年で集まることで「私のクラスも同じ。ある!ある!」という共感、子どもの発達段階や成長の過程の中での悩みだったという気づき、私はこうしているよという前向きなアドバイス等、話し合うことができました。あっという間にワークの時間(70分)が過ぎていきました。話し合いの後は、グループでまとめて発表していきました。
1 自己課題
2 子どもはどう思っているのか
3 話し合いの中で出た支援方法(やってみたい・真似してみたい)
上記の3項目について発表していきました。
【1歳児】
1 子どもの嫌々をどうするのか。
2 本当に嫌なことかもしれない。友達の真似をして嫌がっているのかもしれない。
3 子どもの気持ちを汲み取り、保育者も一緒にやってみる。
【2歳児】
1 片付けのやる気を引き出したい。
2 もっと遊びたい気持ちが強いかも。片づけたくない気持ちもある。
3 パトロールやカバンを持たせて、遊びのように片付けたい気持ちにさせる。
【3歳児】
1 友達に嫌がることをする子の対応
2 保育者にかまってほしい気持ち。友達と遊びたいがやり方が分からない。(コミュニケーション、かかわり方が分からない)
3 「貸して!」「遊ぼう!」の言葉を伝える。我慢できたら抱きしめる。
【4歳児、栄養士、主幹教諭】
1 片付けずに遊んでしまう子の対応
2 もっと遊びたい気持ち。他児が遊んでいるから、もっと遊びたいのかも。
3 頑張り表にシールを貼る。いいねカードを作る。
2.多田先生から
1.環境による教育
先生と信頼関係を基にして、発達年齢に即し、遊びを通した総合的な指導を行うことが大事です。10の姿から「遊びで何が育つのか!?」を考えながら保育する。
2.指導計画を立てるとき
園の目指す子ども像をクラス像におろしていく。経験年数3年目までは、活動から考える方法がイメージしやすい。その時に決して保育者がやりやすく整理しやすいものを選ぶのではなく、子どもが喜ぶ遊び、子ども同士がかかわる遊び、全身を目一杯動かす遊びを考えていきましょう。
3.保育を振り返るとき
保育者の当たり前は、子どもの当たり前ではない。何が当たり前なのかを考え、子どもの気持ちにも焦点を当てて振り返ることが大事です。
【最後に】
・信頼関係はスキンシップからです。ぎゅっと抱きしめましょう。
・先生は一緒に遊んでくれる人です。
・子どもに聞く!を大切にしましょう。
研修を終え、保育者の気持ち(悩み)を話し合う中で、子どもの気持ち、子ども理解へと繋がる素敵な研修となりました。
8月9日保育実践研修会受講者感想(PDFファイル:283.1KB)
第3回保育実践研修
日時
令和4年10月11日(火曜日)午後1時40分~5時
会場
市民交流施設オリナス あつまるスタジオ
講師
神戸常盤大学教育学部こども教育学科
多田琴子教授
内容
演習とワークショップ
- 物を使った遊び
演題
「大人には捨てる物 子どもには宝物」
研修の様子
〇アイスブレイク「ミミズトンネル」「おんせんはいろう」
今回も楽しい触れ合い遊びから始まりました。0歳児でも楽しめ、更にアレンジ次第で、どの年齢が遊んでも楽しい手遊びとなるものでした。触れ合い遊びやスキンシップをすると、自然と笑顔になり心がほぐれるのは、大人も子どもも一緒ですね。研修も回を重ねるごとに、保育者同士の繋がりが深まってきていると感じました。
1、実践発表
参加者の事前資料『新聞紙や広告、折り紙、画用紙等、身近な紙を使った遊びの実践』から「実践」「何が育ったのか」「改善と発展」について発表しました。
多田先生が、一人一人の実践について取組や支援の中で良い所、そして活動の視点(着眼点)について伝えてくださいました。
・子どもの遊びは行為(ビリビリ・ピョンピョン・投げる等)そのものが楽しく、それを認められることでより、さらに楽しさが深まります。
・次に変化することが面白くなります。
・偶然から必然になる過程を何度も繰り返すことで、創意工夫・試す・考えるという非認知能力が育ちます。
子ども主体の活動、楽しさの視点を捉えて環境を構成し支援する大切さを学びました。
2.グループワーク 「新聞紙で立体の家をつくろう!」
3~4人のグループに分かれて新聞紙でオリジナルの家を作っていきました。丸めて繋げてくっつけて…大きさや形を相談しながら進めていきます。
リボン、スズランテープ、色ガムテープ、画用紙…身近な素材が近くにあり、いつでも使える保育環境だと、さらにイメージが広がっていきます。
あっという間に、「恐竜」「クリスマス」「お店屋さん」をイメージした家が完成しました。
いつもなら子ども達が体験している「主体性」を先生方からも感じることができました。
【グループワークをとおして、多田先生より】
・せっかく一生懸命作った新聞紙の家。だけど、遊ぶとすぐにボロボロになってしまい、壊れることもある。
・ただ、保育者や友だちと一緒に作る過程を楽しんだ経験が「自分が、みんなで作った物は大切にしよう」「壊れた(壊した)時には、修理し、また大切に使おう」という気持ちが生まれる。
・作り直せる遊びということが子供にとって大切。失敗を経験することにより、物の取り扱い方が身に付きます。
【身近なモノ(紙)を使って育つもの育てたいもの】
紙で遊ぶ…折る、丸める、たたむ、ちぎる、染める、描く、包む、拭く、被る等
・『何ができるか、どんな活動ができるか』『教育的要素は何か』を考えていくことが大事。
・廃材や素材等には、大人にとって捨てるもの、でも、子どもにとっては宝物の要素が詰まっている。いろいろな素材を集めていっぱい遊んでいきましょう!
最後に多田先生から、『モノを保育に取り込み、将来役に立つ子どもの力(知識や技術、考える力)にできる保育の仕事は素晴らしい!!!』というのエールをいただきました。
みんなで作った家と一緒に記念撮影をして、笑顔いっぱいで研修は終わりました。
10月11日保育実践研修会受講者感想(PDFファイル:292KB)
第4回保育実践研修
日時
令和4年11月15日(火曜日)午後1時40分~5時
会場
西脇市茜が丘複合施設みらいえ
講師
豊岡短期大学姫路キャンパスこども学科
栗岡あけみ教授
内容
演習とワークショップ
- 身体を使った遊び
演題
「心と身体が動いている瞬間~創る・踊る・見て学ぶ~」
研修の様子
初めにリラックスタイム。
「動物自己紹介」「後出しじゃんけん」「カードゲーム」をして、ワイワイと遊んだ後、研修が始まりました。
1.栗岡先生のお話 「創る・踊る・見て学ぶ」
・子どもの発達が理解できていますか?
・子どもと共に創れていますか?
・子どもと共に踊れていますか?
・子どもと共に学べていますか?
初めに幼保連携型認定こども園教育・保育要領の中の文言を取り上げながら、上記のような保育の中で大事にしなければならないことを学びました。
子どもの動きの基本動作は36種類あります。乳児・未満児・幼児、それぞれの時期に発達していく機能を理解し、子どもと一緒に創り上げたり、動きを取り入れたりすることが大切です。
2.ワーク1 実践発表
参加者一人一人の身体を使った表現遊びやダンス等の実践発表をしました。
〔発表を聞くポイント〕
・質問したい箇所やもっと聞きたいところをメモしておこう。
・アンテナを張りアンテナを磨こう。
保育者は聞くことが大切。子どもの話を聞く中で耳が育ち傾聴する力が育ちます。そして子ども達は、思いを受け止め聞いてくれる保育者が大好きになり、信頼関係が築かれていきます。
保育内容は、表現遊びやリトミックが多かったです。実践を聞き、他の参加者が一人一人感想や質問等を伝えていき、活発に質問や感想が出てきました。
自分の事例について語ったり質問に答えたり伝えたりすることで、幼児理解や保育への学びが深まっていきました。
3.ワーク2 ダンスを創作しよう!
始める前に・・・
簡単ストレッチで体を温め、簡単体操「ポキポキポッキン」で体を柔軟にし、簡単音楽「ぴよピヨ行進曲」で可愛いひよこになって楽しみました。どの年齢でも保育に使えそうと、研修後CDをチェックする保育者も多くみられました。
未満児グループは「どんないろがすき」、3歳以上児のグループは「そうだったらいいのにな」の曲に振付を行うことになりました。ポイントとテーマは「心おどらせて」「見て学ぼう」。
どの保育者も知っている曲だったので、相談するうちに次第にいろいろな振りが出てきました。栗岡先生のアドバイスをもとに、発達年齢に合った身体の動きを取り入れていきました。
最後に、各グループで作ったダンスを参加者全員で踊りました。「どんないろがすき」は、いろいろなクレヨンの表現が出てきたり、「そうだったらいいのにな」は、5番まで後半のそれぞれの歌詞に合わせた表現が入っていたりと、みんな楽しそうに踊ることができました。みんなで踊ることで、「心おどらせて」「他者の動きを見て学ぼう」に繋がりました。
4.栗岡先生の話 「心と身体が動いている瞬間」
幼児期運動指針(3歳~6歳)では、「毎日60分以上、楽しく体を動かす」と書かれています。このため園でも、「様々な遊びを取り入れる」「楽しく体を動かす時間を確保する」「発達の特性に応じた遊びを提供する」ことが大切です。
様々な遊びの中に、運動的な要素が垣間見られることを意識しましょう。意識すれば、心と身体が動いている瞬間に出会えます。
今回の研修は、いろいろな園の事例を見ることができ、みんなで意見を出し合って創るダンスも楽しめたようです。また、「できない」と決めてしまうのではなく、保育者ができるようになるための活動を考えること、目の前の子どもの発達に合わせた保育が大切であることを、改めて感じた研修でした。
11月15日保育実践研修会受講者感想(PDFファイル:291.3KB)
第5回保育実践研修
日時
令和4年12月26日(月曜日)午後1時40分~5時
会場
しばざくら幼稚園
講師
兵庫大学生涯福祉学部こども福祉学科
田井敦子教授
内容
演習とワークショップ
- 言葉・音楽を使った遊び
演題
「保育者自身の表現的体験の充実~保育者としての豊かな表現を~」
研修の様子
1 言葉遊びの楽しさ
言葉遊びとは
1 「形・音が中心となっているもの」…しりとり遊び、頭字集め等
言葉のもつリズムの美しさ・楽しさを知ることができます。
2 「内容・意味が重視されているもの」…連想ゲーム、なぞなぞ等
日常使用している言葉を意識的に捉えるようになり、生活の言葉を身に付けることができます。
みんなで遊んでみよう!
・しりとり遊び
・音の数いくつ(言葉の数を拍手する)
・つぎつぎ話(前の人の言った短い言葉を受けて、それに続くお話を順番に作っていく)
・連想ゲーム(前の人の言葉を聞いて、関連するものを言っていく)
・私は誰でしょう(物語に出てくる人物を連想させる話を当てる)
・香り当てゲーム(匂いだけで、中身を当てる)
認定こども園教育・保育要領(幼稚園教育要領)や保育所保育指針の「言葉」には、言葉遊びをすることを通して、言葉が豊かになるとあります。「言葉が豊かになるために言葉遊びをする」のではなく、「言葉遊びを楽しむうちに言葉が豊かになる」のです。そのためには、私達保育者も言葉遊びを知り楽しさが分かることが大切です。たくさんの遊びを参加者とすることで、「この遊び取り入れたい」「大人でも楽しいから子どもはもっと楽しいかも」とワクワクした時間になりました。
また、田井先生から子ども達における語彙数について学びました。1歳半から2歳頃、獲得語彙数が上昇します。1日に10単語以上獲得することもあるそうです。この時期特に意識してほしいのは、子どもへの質問への応対やかかわり方です。この頃の子どもは同じ質問を何度も繰り返すことがあります。これは、自分が思った通りであることを確認して安心したいからです。質問にはその都度答え、やり取りを楽しめるようにかかわりましょう。
2 幼児の音楽表現における遊び~聴く~
まず初めに、音遊びの音楽的意義と教育的意義について学びました。参加者の色々な発想や子ども達の感性を生かすことがポイントです。
やってみよう
1 耳を澄まして「イヤー・クリーニング」
時間を決めて、目を閉じて周囲の音に集中し、聞こえてくる音を発表しました。音に対する関心が高まります。また、「イヤー・クリーニング」は積み重ねが必要です。
2 秘密の音を当てよう!
フイルムケースに、好きな物を入れ音を鳴らして、中に入っている物を当てっこしました。今日の研修では、クリップや紙(丸め方で音の違いが)等を入れて当てっこしました。案外当てるのは難しかったですが、子ども達はすべて言い当てるようです。
3 コマーシャルを作ろう!
グループに分かれて、お店の名前・品物・値段を書き入れ、店にあった音を探しコマーシャルソングも作って発表し合いました。ちなみに、最初は難しそうに話していましたが、発表になると素敵なコマーシャルペーパーが出来上がっていて驚きました。
3 わらべうたの魅力とは
言葉遊び、音遊びに続き、わらべうたでも遊びました。
さあ、遊んでみよう! 「たけのこめだした」等
わらべうたのまとめとして
・歌いやすく遊び方が色々工夫でき、いつでもどこでも遊ぶことができる。
・歌い継がれてきた遊びなので、遊び方のみを伝えるのではなく文化も伝えていけると良い。
・現在、遊びを伝承されにくい現実がある。保育の現場でわらべうたを「教える」のではなく「伝えて」いってほしい。
言葉遊び・聴く遊び・香り当てクイズ・わらべうた等、盛り沢山の楽しい研修となりました。初めて教えていただく遊びもあり、またすぐに保育現場で使える遊びを学ぶことができました。
12月26日保育実践研修会受講者感想(PDFファイル:284.9KB)
マネジメント研修
第1回マネジメント研修
日時
令和4年6月11日(土曜日)午前9時30分~午後3時45分
会場
しばざくら幼稚園
講師
兵庫教育大学大学院学校教育研究科
鈴木正敏准教授
内容
講義と演習
- マネジメントの理解
- リーダーシップ
演題
「保育施設のおけるリーダーシップとマネジメント」
研修の様子
まずは「break the ice」。保育の担当学年ごとに分かれたグループで自己紹介をしました。そして、「今週のハイライト」と題して園での子どもたちのエピソードを出し合いました。楽しいエピソードがたくさんあり、子どもたちの話をする先生も、その話を聞く先生も笑顔であたたかい雰囲気となったところで研修が始まりました。
この研修はミドルリーダーの役割を担う立場の保育者を対象としたもので、自園の円滑な運営と保育の質を高めるためのマネジメント・リーダーシップ能力を身につけていくことを目的にしています。
ただ、今回の参加者は主幹教諭や学年リーダーというより、ほとんどが担任や担当学年のある保育者でしたので、マネジメント、リーダーシップの考え方をクラスの子ども達や職員間に生かしていけるような視点のもとに内容のワークを進めていきました。
リーダーになるためには
5歳になるとリーダーシップを発揮し始めます。
鈴木先生が訪問参観したある園の5歳児が考えたリーダーとは次のようなものでした。
- みんなを守れる人
- チャキチャキできる人
- ちゃんと話が聞ける人 など
保育の現場でも
- 「いいよ、どんどんやってね。後は私が責任取るからね」と任せてくれる。
- ビジョン(夢や目標)をもっているが、やり方等は自由に任せられる。
- 職員の良さや個性を生かし、みんなのやる気をみなぎらせるようにする。
そして、1番大切なことは、人の話を聞けること。これは、5歳児が考えたリーダー像と同じです。
【事例1】職員間で共通の長期的視点をもつために(園内研修での共通理解)
ある園の3歳児保育の様子から
3歳児男児2名が、お互い頭をつっつきあって遊んでいる。徐々にエスカレートしてたたくような姿になってきていることを担任は把握している。担任は、怪我になってはいけないが、エスカレートして嫌な気持ち(トラブル)になり、本人が気づく機会・経験になってほしいと思っている。副担任(フリー・補助教諭)は、怪我やトラブルを回避したいので、泣く前にとめてしまう。
鈴木先生から、その場で事前に止めると一見トラブルはないが、トラブルになる前に保育者がとめることで本人に気づきや学びがないまま成長してしまい、5歳児になってもっと大きく乱暴になって現れることになる。長期的視点から見ると、3歳児で経験することが、今後につながる。このような考え方を職員間で共通理解したり、マニュアルをつくることが大切である。
また、グループで実際にによくある事例について話し合いました。
【事例2】4・5歳児子どもの中には、友だちが悪いことをしているのを見つけ、先生にすぐに伝えにくる子がいます。なぜでしょう。また、それを減らすには?
ー参加者からー
- 「先生、見て見て!」のサイン。かかわりを求めている。
- 友達の良いところ見つけをする。それをクラスで発表する など
ー鈴木先生からー
- 4歳児の発達段階として、自分と周りの区別(自分と同じ・違う)ということが理解でき始めます。さらに、4歳児になると善悪の区別もはっきりしてくるので、「〇君は、これができていない」「先生の言ったことと違うことをしている」等、例え自分のことができていなくても周りのことを言うのは、4歳児あるあるです。
- 保育者に、伝えにくる子は自己肯定感が低い子です。自己肯定感の低さには4つのパターンがあり、その中で、下位否定型(他を落として自分をあげる)の子が言いに来る。
- 園でワーク系(ひらがな・100マス・英語等)が多いと、子どもたちの評価ができず、評価が先生になってしまうので、つげ口が増える傾向がある。ワークでなくても、同じ取組や完成が決まっているものに対しては同じ傾向。
ー改善策ー
- 個性の出る取組や保育。子どもたちの評価・認める機会がある保育
- 友だち同士お互い認め合う機会を作る。認め合うクラスつくり
- 子どもたちで、評価できる、保育者は、その子の個性を見つけて認めていく
- それでも、改善しない場合は、『これまでの蓄積』『家庭』『本人の特性』等の影響が考えられる
職員間でも同じです。適材適所を考え、その人の良さを認め、安心のベースを作ることで、本人の向上心につながり挑戦できるようになります。
サーバントリーダーシップとは?
サーバントリーダーとは、支配するのではなく、支援する形・対話型のリーダーです。
サーバントリーダーには10の特性があります。
- 傾聴
- 共感
- 癒し
- 気づき
- 説得
- 概念化
- 先見力
- 執事役
- 成長への関与
- コミュニティづくり
サーバントリーダーの10の特性を聞いた後、以下のことについて話し合いました。
【事例3】自分が困っていることや悩みにに対して、どんな風に聞いてほしいか。
ー参加者からー
- ただ話を聞いてもらえること。「分かる。うんうん」とうなずいてくれるだけでいい。
- 私もそうだったよと共感してもらえると安心する。
- 話しやすい雰囲気の人、時間をとって話を聞いてくれる人。
ー自分の嬉しかった出来事ー
- 普段の保育について、何気なく「ここがいいよ」と認めてもらえたこと。
- 前年度の担任や、今担当している子を知っている保育者からの共感や認めがあった時。
- 1年目で困っていた時「1年目には1年目の役割があるよ」と言ってもらい嬉しかった。
ー鈴木先生からー
- 1度は受け止め、まずは共感し否定をしない。
- 視点を変え相手のことを考え、相手の立場に立ってみる。
- その人の可能性を信じ、その人が成長した姿やその人がいる意味を考えること。
- そのためには、園内研修等で、何でも話せる場をつくり、喜び合えるコミュニティがあれば、一人一人の成長の場となります。
最後に鈴木先生から
ある園長先生が「私がいなくても職員が次々と考え、動いてくれるので、園が回るのです」と言われました。
クラス運営でも同じです。担任がいなくても、子どもたちが考えてくれる、子どもたちと一緒に考えていく、職員間で一緒に考えていく、そんな風な担任(リーダー)になれるといいですね。
6月11日マネジメント分野受講者感想(PDFファイル:333.7KB)
第2回マネジメント研修
日時
令和4年9月3日(土曜日)午前9時30分~午後3時45分
会場
市民交流施設オリナス つながるスタジオ
講師
兵庫教育大学大学院学校教育研究科
鈴木正敏准教授
内容
講演と演習
- 組織目標の設定
- 人材育成
演題
「分散型リーダーシップと協働するチーム作り」
研修の様子
今回の研修では「園の組織目標や課題への解決に向けて」「人材育成(研修を通した職員の資質向上)」について学びます。
ミドルリーダーの立場として「これから求められるリーダーシップ」について、保育者同士の話し合いやワークを中心に考えていきました。
これから求められるリーダーシップは以下の通りです。
・サーバント(支援型)リーダーシップ…前回学習
・分散型(協働的)リーダーシップ
・方向づけのリーダーシップ
・協働的リーダーシップを活かした園内研修(人材育成)
1 分散型リーダーシップ
1.特徴「(他人に)任せられるリーダー」
・組織のどこにいてもリーダーシップが存在する。リーダーの多いチーム。
・非階層的(上下関係が固定しない)、柔軟、応答的。
このため、職員一人一人の「得意なこと」「できること」を探し、「任せても大丈夫なこと」を見つけることが大切です。
『分散できる行事や研修の具体例』『目的に応じたチーム(クラス)分けの例』などを学び、実際に、グループに分かれて、保育者や園の「得意なこと・良いところ探し」のワークを行いました。
2.誰もがリーダーになれるために
傾聴、共感、対話を心がける。
KPT法を活用して研修を行う。
・Keep=良いところを継続する。
・Problem=課題を見つける。
・Try=良いところの改善、課題の解決策。
一人一人がやりがいをもって仕事ができるように、自分の役割を見直していくこと。
「良いところ」を探し、継続し、「改善したところ」を見える化すること。
鈴木先生から、プラスから出発することの大切さ、良いところを共有することから、改善の糸口につながっていくことを学びました。
2 方向付けのリーダーシップ
1.共通のビジョンを作ること(園のねらいや目標等)
2.ビジョン作りのための効果的なコミュニケーションを図ること
特に「2」のためには、それぞれが納得いく形でコミュニケーションが取れていなければなりません。
効果的なコミュニケーションを図るためには、『聴くことと共感すること』『要約し、説明すること』『話し合い、交渉すること』が大事であることを知りました。
共通のビジョン(ねらい・目標)作りのワークとして、各園の運動会の取組について話し合いました。
【グループワーク】運動会について
話し合いの視点
・園の運動会の様子、取組(情報共有)
・運動会に向けてのねらいを理論的考えていく
(保護者に、ここは見てほしい、この成長を喜んでほしいところは何か)
【未満児】普段の遊びから運動会へ。無理なく楽しめるように。保護者には、活動の様子や楽しむ姿や、場所や環境の変化に戸惑うこともあることも伝えていく。
【子ども主体の運動会】コロナ禍の行事見直しで、決められた種目でなく子ども主体に変化してきた。子どもの意欲を大切にしている。
【5歳児チャレンジ活動】何か1つ得意なことを、運動会で見てもらう。毎日の練習をとおして「自己肯定感」を育んでいる。できるできない、結果のみ判断するのでなく、頑張っている過程を大切にし、励ましている。
【相談しながら】子ども達と話し合って決めようと考えている。今は、子どもたちと一緒に悩んでいるところだが、その過程を含めて、見守ってほしいことを伝えていく。
3 協働的リーダーシップを生かした園内研修(人材育成)
協働的リーダーシップとは、チーム文化を活性化させ、保護者の協働を促すことです。
1 チーム文化の活性化
・チーム内が互いに信頼関係をもち、認め合い、言いたいことが言える場であること。「意見をいうことが許される雰囲気」「意見が尊重される雰囲気」
・お互いにいいところを出し合い、プラスにもっていき、具体的な方策を考えること。
このために必要なのは、保育者の協働を促す「園内研修」です。
【園内研修の例】
・実践事例(写真、エピソード)を持ち寄ったもの
・身近で、短時間でできる研修
・ドキュメンテーションを活用したもの
2 保護者の協働を促す
・保護者が子どもの成長発達や園の方針を理解し賛同することが大切
・ドキュメンテーションを充実させると、保育の見える化となり、保護者理解が進みやすい。
【グループワーク】今週の保育スポットライト!
園内研修の例として、エピソードからみた子どもの育ちを考えるワークを行いました。ワークで出たエピソードに、鈴木先生からコメントをくださいました。
ー3歳児のエピソードー「わたし、きげんがわるいの」
いつもニコニコの女児、でもめずらしく今日は朝から調子が悪く、園に泣きながら登園した。担任が、落ち着いた頃に尋ねるとA児は、「わたし、きげんがわるいの」と話した。降園時、保護者に報告すると、これまでA児がそのような言葉は使ったことがなく、考えられるとしたら、朝に、園職員と「今日は、朝から機嫌が悪い」という会話をしたこと。大人の会話を聞いて、使っていることにびっくりした。
ー鈴木先生からー
このエピソードから、A児は、『語彙の獲得』と『感情の理解』という2つの成長が見られる。3歳児は、経験したことが語彙や感情と結びつきやすい時期なので、そこを意識したり遊びに取り入れたりして、保育するといい。
ー4歳児のエピソードー「ぼく、できない」「大丈夫!できる。できてる!」
運動会に向けたフラフープ遊び、男児の中には「できない」とすぐ諦めようとする子が見られた。保育者が、「大丈夫」「できる。できてる!」と繰り返し励ましていくうちに、意欲が出て、まわすことができるようになった。
ー鈴木先生からー
男児は、ヒーローになりきったり、信じやすい。イメージトレーニングの様に、自分で想像できる、そういう言葉を繰り返し伝えてもらえることが大切。一度乗り越える経験は次回への、将来へのつながりとなる。
また、4歳児から5歳児と大きくなるとともに、大人へのかかわりより子ども同士のかかわりや影響の比重が大きくなってくるので、保育者の認めや励ましとともに、友だち同士で認め合える・励まし合えるクラス作りが大切である。
各園の楽しいエピソードから、子どもの成長につながるキーワードがたくさんでてきました。10分程度の時間でしたが、『意図・ねらい・成長』を意識して話し合うことで、園内研修となることが分かりました。
この研修の中で、鈴木先生からたくさんの『良いところ』を受け取りました。参加者の保育や頑張り、好きなところ、得意なこと、そして、課題に対しても『良いところ』から。園でも、『良いところ』の輪が広がるといいですね。
9月3日マネジメント研修受講者感想(PDFファイル:306KB)
第3回マネジメント研修
日時
令和5年1月28日(土曜日)午前9時30分~午後3時45分
会場
西脇市茜が丘複合施設みらいえ
講師
兵庫教育大学大学院学校教育研究科
鈴木正敏准教授
内容
講義と演習
- 人材育成
- 働きやすい環境づくり
演題
「園の人財を育てるリーダーシップ」
研修の様子
「人財を育てるリーダーシップ」
鈴木先生から、保育者は人財(たから)であり、子どもと同じように保育者も育つ存在であること、本日の研修が気づきの場、語り合いの場になってほしいと話されました。
まず初めに、前回学んだ分散型リーダーシップの2つ(方向付け・協同的リーダーシップ)について振り返りました。今回は残り2つの分散型リーダーシップを中心に学びます。
キーワードや視点は「受容・共感・理解」です。
事例 「ある小学校5年生のクラスでは」
鈴木先生が訪問された5年生は子ども達がのびのびして雰囲気がよく「援助希求(えんじょききゅう)」も成り立っていました。
「援助希求」とは、信頼関係の中で他者に助けを求めることで、1・2歳児も5歳児や1年生の接続期でも、とても重要とされるものです。このクラスの担任の言葉がけや内容を調べてみると、7割が「受容と理解」で指示と注意は5%でした。一方、クラス運営がうまくいっていないと、担任や子ども同士の注意が増えます。
クラスだけでなく、園運営や園職員同士でも「傾聴と共感」の姿勢が大切であり、下から支えるサーバントリーダー(支援型・対話型)の存在が人材育成につながっていきます。
エンパワーメント(パワーをその人にうめる。ためる。)が大切で、時には愚痴を言ってもいいが、その後に、職員同士でプラスを見出す意識がもてるといいことを学びました。職員間で「イイネ!」「教えて」が増えると心が軽くなり、気持ちも動く職場になります。
1 他者を力づけるリーダーシップ
1.それぞれの主体性を引き出す
まずは、リーダー自身がやる気を出すこと。それにより、相手に影響を与える。(変革型リーダーシップ)理想を語る保育者が大切です。
2.職員の変化のプロセスを支える
やはり、まずはリーダーが変わりたいという意思ややる気をだすこと。
その上で、職員一人一人が納得する形で変化していく姿を支えていく。
3.お互いを認め合い、支えあう関係にする。
2 教育のリーダーシップ
1.園全体や個々の学びをリードする
2.園全体や個々の省察的な学びを理解する
職員間の「学び合い」には、お互い認め合う関係性が大切。せっかく時間を作った園内研修が、注意や指摘ばかりだと、エンパワメントが失われてしまう。ここでも「受容・共感・理解」が大切で、大人が変われば子どもたちの学びも協働的になっていく。
園や地域(西脇市の研修)が「学びの共同体」となり、保育者を支えていけることが大切です。
グループワーク「保育者の発達段階から自分の役割を考えよう」
担当学年グループで話し合いをする中、自分たちは「中堅(洗練された段階)」の立場であるという自覚が芽生えていました。保育経験は積んできているものの、困っていることとしてあがってきたのが、保護者への対応でした。
鈴木先生から、保護者へアドバイスをしようと思うより、共感や理解の態度を示すことによって保護者が安心感をもてること、そして、「受容・共感・理解」が大事であることがわかりました。
最後に、園を「癒しの空間」にするには
・お互いに「認め合う」組織に。リーダーシップがミドルリーダーに、ミドルリーダーが若手を認め、導いていく。
・「癒される」「元気づけられる」ような、職員間の声のかけ合いがある。
・働きやすい職場つくり。
「自分の園をこんな風にしたい!」という具体的な目標を3つ考え、園に持ち帰りました。
鈴木先生から、一人一人が「無理をしないこと」「自分の好きなことや、得意なことからやってみること」「本当に、嫌なことはしないこと」、そして、園全体として「受容・共感・理解」を大切にすることで、職場や人との関係性が良くなることを学びました。
3回のマネジメント研修が、本当に良い学び合いの機会となりました。
1月28日マネジメント研修会受講者感想(PDFファイル:319.4KB)
保護者支援・子育て支援研修(西脇市保育協会委託)
第1回保護者支援・子育て支援研修(リモート研修)
日時
令和4年5月28日(土曜日)午前10時~午後3時50分
会場
- メイン会場
西脇こども園 - サテライト会場
市内こども園
講師
武庫川女子大学教育学部教育学科
鶴宏史教授
内容
講演・演習(リモートによる)
- 保護者支援・子育て支援の意義
- 保護者に対する相談援助
演題
「保護者支援・子育て支援の意義 保護者に対する相談援助」
研修の内容
メイン会場(西脇こども園)に鶴先生をお迎えし、サテライト会場(市内7こども園)とリモートでつないで、研修を受講しました。
現在の社会的状況における保護者支援・子育て支援の重要性
- 共働き世代の増加、親子のみで生活するひとり親世帯の困窮、児童虐待件数の増加(心理的虐待、コロナ禍)
- 育児不安、育児困難(孤立、子どもへの接し方が分からない・向き合えない、自信・手ごたえがない)
様々な不安や困難を抱えている保護者や家庭が増えている昨今、子どもの発達にも大きく影響する保護者や家庭を支援することは、『子どもの権利条約』や『児童福祉法』でも挙げられています。
園や保育者は、保護者支援の中でメリットとなる要素が多くあります。
- 保護者と日々出会えること(家庭の状況を把握、家庭と連携しやすい)
- 子どもの発達に適した保育環境
- 保育の専門家として、保護者から悩みを聞いたりノウハウを伝えたりできること
子育て支援は、保護者への働きかけ(保護者支援)を通して、「子どもの最善の利益」を確保していくのだということを学びました。
保護者の養育力の向上につながる支援
保護者支援・子育て支援の基本は以下の6つです
- 保護者の受容
- 保護者の自己決定の尊重
- 園の特性を生かした支援
- 子育ての喜びを実感できるような支援
- 他機関との連携
- プライバシーの保護と秘密保持
その中で、受容や信頼関係について、実際の事例をもとに、考えていきました。
- 保護者との信頼関係 「許容」と「受容」の違い
保護者と信頼関係を築くには、保護者のありのままの姿を理解し、親としての力を信じていく。だが、してはいけないことをしても大丈夫だと「許容」してはいけない。してはいけないことをしてしまう気持ちを受け止めることが「受容」することで、受け止めることと許すことは別である。
- 保護者を支えるストレングス
ストレングスとは、その人のもつ力、強みや長所、才能や関心、周りの環境(頼れるところ)等。保育者が保護者に対して、ストレングスの視点で肯定的に支援していくことが信頼関係につながります。
【事例】週に1回園庭開放にやってくるAさん親子。Aさんの暗い表情や他の親子と全くかかわっていかないことが気になり、保育者が声をかけ、話を聞いた。
「引っ越してきたばかりで、知り合いはいない。」「夫は育児に協力的だが、土日も仕事」「市の広報でここを見つけた」「イライラして怒鳴ってしまう。不安で手も上げてしまいそう」「他の保護者に声はかけづらいが、園庭解放や子育て相談を利用したい」
Aさんのストリングスは
- 一人で子育てを頑張っている(手もあげていない)
- 市の広報で園庭開放を見つけた、子育て相談を利用したい
- 自分の悩みを素直に相談できた
- 夫は育児に協力的である
事例の経過をたどりながら、Aさんの不安の受け止め方や対応の仕方、今後どんな支援ができるのか等考えていきました。
グループワーク
保護者支援・子育て支援の話をたくさん聞いた後、グループワークをしました。
テーマは「保護者と信頼関係を築く上で意識していること、そして、保護者が相談したいと思う保育者は?」
メイン会場、そして各こども園のサテライト会場で、話し合いました。そして、メイン会場、サテライト会場からそれぞれ1グループずつ発表し、共通理解をしました。
「保護者の話に耳を傾ける、温かい雰囲気」「出会った時には、よいことうれしい出来事を話す」「共感する」「笑顔で対応する」「一人一人と丁寧にかかわる」「分け隔てなく伝える」「目を見て話す」「丁寧な言葉で話す」「笑顔や挨拶、日ごろからの積み重ね」「子どもの成長一緒に喜び合う」「小さな変化への気づき」「悩みに寄り添う」等、保育者として心がけていることがたくさん出てきました。
サテライト会場は、いつも一緒に働いている仲間同士だったので、和やかな雰囲気の中で話し合いが進み、また今まで知らなかった仲間の気持ちや考えにも気付ける機会となったようです。
「保護者を支えることが、子どもを支えることである。子どもを支えることが、保護者を支えることである。」という大切なことを学んだ研修となりました。
5月28日保護者支援・子育て支援受講者感想(PDFファイル:325.6KB)
第2回保護者支援・子育て支援研修(リモート研修)
日時
令和4年8月6日(土曜日)午前10時~午後3時50分
会場
- メイン会場
西脇こども園 - サテライト会場
市内こども園
講師
武庫川女子大学教育学部教育学科
鶴宏史教授
内容
講演・演習(リモートによる)
- 保護者に対する相談援助
- 地域における子育て支援
演題
「保護者に対する相談援助 地域子育て支援」
研修の様子
1 相談援助の基礎基本
バイステックの7原則について
1.個別化 (保護者を個人として捉える)
2.意図的な感情表出 (保護者の感情表現を大切にする)
3.統制された情緒的関与 (保育者自身の感情を自覚し吟味する)
4.受容 (受け止める)
5.非審判的態度 (保護者を一方的に非難しない)
6.自己決定 (保護者の自己決定を促して尊重する)
7.秘密保持 (秘密を保持して信頼感を醸成する)
前回の研修で学んだことをさらに深めていけるような内容でした。
2 事例検討(ワーク)
【Sさん親子(1歳8か月)】
3つの場面から検討・協議
1.背景から気づく部分(実態把握や予測)
子について、夫について、妻についての気づきを話し合いました。
2.支援計画の作成
面談から、分かった状況をもとに、支援計画を考えました。
3.社会資源を活用
更に、Sさん親子課題に(生活・困難・二人で)や連携が必要と考えられる社会資源について検討しました。
事例を検討する中で、社会資源(地域子育て支援)についての知識や情報が、園や保育者に必要であることが分りました。
3 地域子育て支援について
子育て支援に関わる機関や制度の説明とともに、西脇市で実際利用できる事業や相談先(市役所や事業所)について学びました。
園(保育者)で抱え込まずに相談できる所があることを知ることができました。
4 コミュニケーション・面談技法
保護者との関わりや支援では、保育者がよい聞き手になること、「傾聴」が求められます。
更に、保護者の話の整理や必要な情報の収集が重要となってきます。そのためには、保育者が様々な面接技法を身につけることが不可欠です。
【様々な面接技法】
1.関わり行動(視線、声の質、言語的追跡、確実な身体言語)
2.質問技法(閉じた質問、開いた質問)
3.明確化技法(励まし、言い換え、要約)
4.感情の反映技法(促し、繰り返し、言い換え、共感)
5.リフレーミング…出来事や状況の意味づけを肯定的に捉えなおす。
具体的な事例を聞いたり、実際にワークをしたりする中で、保護者とよりよい関係を築いていけるために心がけること、身につけていきたいことを沢山学ぶことができました。
【最後に鶴先生から】
支援はよい聞き手になることから始まります。本日伝えた様々な技法がありますが、これらはすぐには身につかないので、日々の練習や自らのコミュニケーションのあり方を見直す必要があります。
保育者によって、個性・スタイルは違いますが、保護者が主体的に子育てや問題解決に取り組む過程を見守っていってほしいです。
沢山の学びと気づきをくださった、実りある研修となりました。
8月6日保護者支援・子育て支援研修会受講者感想(PDFファイル:362.5KB)
第3回保護者支援・子育て支援研修(リモート研修)
日時
令和4年11月5日(土曜日)午前9時~午後12時45分
会場
- メイン会場
西脇こども園 - サテライト会場
市内こども園
講師
頌栄短期大学保育科
杉山宗尚准教授
内容
講演・演習(リモートによる)
・虐待予防
演題
「虐待予防」
研修の様子
1.虐待とは
「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」
1.身体的虐待 2.性的虐待 3.ネグレクト 4.心理的虐待
杉山先生が児童養護施設職員の時に関わられた事例を交えながら、どういう虐待なのか教えていただきました。近年は児童虐待だけでなく、いき過ぎた子育てを含めて「チャイルド・マルトリートメント(不適切な養育・かかわり)」という表現を用いることも多いということも学びました。
2.児童虐待の現状と子どもへの影響
児童相談所における児童虐待についての相談は、1年間に20万件もあります。近年増加傾向にあるのは、子育ての難しさとともに、虐待に対する理解が進んだことも影響があると教えていただきました。他にも虐待の種別と割合、誰から虐待されることが多いのか等、データをもとに知ることができました。
令和2年度 虐待された年齢別の割合は以下の通りです。
0~6歳(乳幼児) 45%
7~12歳(小学生) 34.2%
13歳~18歳(中・高生) 20.8%
0~6歳の乳幼児期が一番多いですが、その子ども達を預かる就学前施設からの通報件数は1.1%と、とても少ないです。もしかしたら、保育現場で被虐待児を見逃しているかもしれません。私たち保育者や園は、早期発見に努める必要があります。H27年から短縮ダイヤル【189 いちはやく】が導入され、それにより相談件数が大幅に増えていることも知りました。
一番心配なのが、虐待による子どもへの影響です。
身体的影響は、怪我、傷、にとどまらず、愛情不足による成長ホルモンの抑制や成長不全(低身長・体重増加不良)を引き起こすという事実を聞き、驚きました。知的発達面、心理的影響、行動上の問題等、杉山先生の具体的な話に、園児の顔が思い浮かんだという保育者も見られました。
3.虐待の発見・予防・対応について
1.視点の捉え方として大切なこと
・見立ての中で「~かもしれない」という捉え方で考えること。
・様々な可能性を考えること。
・些細な変化や異常に対する気付きが大切であること。
・想像することで、虐待を発見し予防できる可能性が生まれること。
2.虐待の発見と通告について(法律)
・学校や子どもに関する全ての施設は、虐待の早期発見に努めること。
・発見者については、「通告義務」があり、「守秘義務(個人情報)」より「通告義務」の方が優先であること。
相談・通告先は、市町村の福祉事務所、もしくは児童相談所であり、市役所にも子どもを守るネットワークとして、要保護児童対策調整機関が設置されています。「あれ、この子虐待かも」と感じたら一人で抱え込まず、園に報告、相談そして、関係機関へ繋いでいくことで、解決の幅が広がっていきます。
最後に
「施設の子ども達は、すでに虐待をする親の元から保護されているが、私たちが勤めている園は、今も虐待されてしまう子どもがいる最前線の現場なのです。そこで毎日子どもや保護者と向き合っているのです」(ある保育者の話)
杉山先生が、子どもの命や人生を、子どもだけでなく保護者の人生も含めて救える大切な職業であることを伝えてくださいました。
11月5日保護者支援・子育て支援研修会受講者感想(PDFファイル:331.2KB)
第4回保護者支援・子育て支援研修(リモート研修)
日時
令和5年1月21日(土曜日)午後1時~午後4時30分
会場
- メイン会場
西脇こども園 - サテライト会場
市内こども園
講師
大阪城南女子短期大学総合保育学科
丸目満弓准教授
内容
講演・演習(リモートによる)
・関係機関との連携、地域資源の活用
演題
「保護者支援・子育て支援(地域資源の活用・関係機関との連携)」
研修の様子
今回の研修では、「地域資源の活用」「関係機関との連携」について、園ごとのグループワークを中心に学んでいきました。
1 地域資源の活用について
まず、園の地域アセスメント(特徴や子育てニーズ)について、園ごとに話し合うとともに、ニーズに応えられる社会資源について考えました。
その中で、子どもの居場所や家庭を支える拠点づくりが重要であることが分かりました。「拠点づくり」と聞くと新たに作り出すイメージがありますが、地域に潜在的な人材が多く眠っていて、地域の今ある施設や人を発掘して活用していくこと、「地域」という定義の捉えなおしをすることで、活用の幅が広がること等を学びました。
2 関係機関との連携
園が特に連携や協働を必要とする地域の関係機関や関係者について、ビンゴゲームを使って考えていきました。
【2つの機関を併せ持つ施設】
みらいえこどもプラザ(児童館と地域子育て支援センター)
【所在地が市外にあるもの】(市内にないもの)
要保護児童対策地域協議会、母子保健センター、家庭児童相談室、指導発達支援センター
上記については、市役所関係課が受けもち、連携を行っています。(西脇市発行『子育て支援ガイドブック』参考)
まずは、地域にある「人」「もの」「サービス」を把握し、保護者の抱える生活課題につなぐこと、そして、援助者(保護者)が支援の手を差し伸べること(アウトリサーチ)が必要であると学びました。
西脇市社会福祉法人連絡協議会「ほっとかへんネット西脇」について
「ほっとかへんネット西脇」では、地域の困ったことや地域人材の育成等について、12の公益的な取組を進めています。
この西脇市社会福祉法人連絡協議会の名簿には、市内8こども園も入っています。園自体も関係機関であること、そして、いつも保護者が身近にかかわることのできる保育者には大きな強みがあることを、最後に、丸目先生が伝えてくださいました。
地域にある「人」「もの」「サービス」について、知る・共通理解することができる有意義な時間となりました。
1月21日保護者支援・子育て支援研修会受講者感想(PDFファイル:340.8KB)
特別支援学習会
第1回特別支援学習会
日時
令和4年5月31日(火曜日)午後3時~4時30分
会場
西脇市役所 3階 大会議室
講師
- 西脇市障害者基幹相談支援センター
- NPO法人白ゆり会うぃーぶねっと
藤井志帆相談支援専門員 - 障害者相談援助センター「ぱれっと」
藤原友喜相談支援専門員
内容
講演
演題
「障害のある子どもを対象としたサービスの利用について」
研修の様子
障害者相談支援センター 相談支援事業所について
専門の職員(相談員や相談支援専門員等)が、障害のある人やご家族から困りごとや悩み・不安や希望等を聞き、個々に応じた支援を行います。
西脇市には、相談事業所が5つあります。
- 西脇市障害者基幹相談支援センター うぃーぶねっと
- 障害者相談支援センター「ぱれっと」
- 赤とんぼ 相談支援事業所
- 相談支援事業所ココイロ
- 相談支援センターえがお
その中でも、市役所健康福祉連携施設にあるうぃーぶねっとは、相談基幹支援センターとして、地域における相談支援体制の総合的な相談や支援体制の充実をはかる拠点として、市から委託されています。
相談支援専門員について
参加者事前アンケートでは、相談支援専門員について知らない、かかわったことがほとんどないと答える回答が多く見られました。しかし、実際は、園児が児童発達支援を、また児童が放課後等デイサービスを利用する際には、相談支援専門員が必ず相談に携わっています。
- 児童発達・放課後等デイサービスを利用する人数の増加(この5年間で2倍)
- 利用時間、利用日数の増加(この5年間で3倍)
サービスを利用する幼児・児童の保護者からのニーズの高さを感じるとともに、園や学校と相談支援専門員の連携が必要であることが分かりました。
障害のある子どもが利用できるサービスについて
障害のある子どもが利用できるサービスは市内でも、増えてきています。
- 児童発達支援(未就園児対象)
日常生活に必要な動作や知識の指導や、集団生活に必要な適応訓練を行う。
市内2か所(みらいポケットにしわき、アミコ)
市外では、つばめ会、こすもす園、なゆた、りんごの木、えがお 等 - 放課後等デイサービス(就学児対象)
放課後や長期休業期間中に、生活能力向上のための訓練や、地域社会との交流促進を図る。
市内8か所(こどもプラス西脇、みらいポケットにしわき、チャレンジ・キッズ西脇、アミコ、こども教室エール、エール西教室、Growingつばめ、こはくのひろば)
他にも、保育所等訪問支援(今年度から西脇市も対象エリア)、居宅訪問・医療型等のサービスがあります。
サービス利用の流れについて
園児・児童の保護者がサービス利用を希望した場合、以下のような手続きがあります。
- 相談
- 利用申請
- 計画作成
- 支給決定
- サービス担当者会議
- 利用開始
- モニタリング
担当者会議では、保護者(園児・児童)の意向と学校園の方針をお互い聞き、その子にとって何が一番なのか考えた上でよりよい支援サービスを検討します。利用日数や時間の変更や調整も、計画更新のタイミングもしくは、希望に応じて行っていきます。
- 障害児支援利用計画について
サービスを利用する際、相談支援専門員が保護者の思いや意向を聞き、長期・短期目標を設定するとともに、目標を達成するための手立てを記入。
相談支援専門員は、園児・児童と利用施設との連携の橋渡しの存在
園児・児童の利用者が増加する中で、学校園から以下のような相談を聞きます。
- 支援の必要な幼児の通っている園と児童発達施設との連携がしたいが、どうしていいか分からない。
- 支援の必要な児童が通っている放課後等デイサービスについて、知りたいことや聞きたいことがあるがどこに連絡していいか分からない。
そんなときに、直接学校園と利用サービス施設とが連絡をとることも可能ですが、相談支援専門員に連絡をすることで、多方面(保護者、学校園、利用サービス施設等)と調整しやすくなり、結果幼児や児童のよりよい成長につながっていくことと思います。
今回の研修によって、西脇市における『障害のある子どもを対象としたサービスの利用について』まず知る・理解することができました。
5月31日特別支援学習会参加者感想(PDFファイル:296.2KB)
第2回・第4回特別支援学習会(リモート研修)
日時
令和4年9月2日(金曜日)午後3時~5時
令和5年1月10日(火曜日)午後3時15分~4時45分
会場
西脇市茜が丘複合施設みらいえ
西脇市役所 3階 大会議室
講師
和歌山大学教育学部心理学教室
米澤好史教授
内容
愛着障害の理解と支援について
演題
「愛着障害と発達障害の理解と支援」
研修の様子
和歌山大学の米澤米沢教授に、リモート形式で講義していただきました。
9月2日の研修では、主に愛着障害とは何かという実態や理解、困り感について詳しく学ぶことができました。
そして、発達特性と愛着の区別の難しさを分かりやすく説明いただきました。
1月10日の研修では、前回の振り返りもしながら、愛着障害の3つのタイプの理解について、そして、3つのタイプに応じたそれぞれの支援方法について事例もまじえながら説明いただきました。
『安心基地・安全基地・探索基地』という3つのタイプに応じた、具体的な手立てや支援方法や手立てが必要であることを学びました。
学びの多い研修となりました。
1月10日特別支援研修会受講者感想(PDFファイル:569.5KB)
第3回特別支援学習会
日時
令和4年9月28日(水曜日)午後3時~5時
場所
市役所 3階 大会議室
講師
北はりま特別支援学校支援部長 コーディネーター
閑念勝代先生
内容
講演・ワークショップ
演題
「就学に向けた支援~切れ目のない支援~」
研修の様子
1.「サポートファイルの運用について」
西脇市福祉部こども福祉課より
〇サポートファイルについて
西脇市は、行政管理です。保護者(本人)管理の市町もあります。
メリット:早期から一貫・連続した支援や切れ目のない支援体制の構築を図るこ
とができる。
課題:保護者(本人)の目に届きにくい。
毎年60件程度の申請があり、診断の有無に関係なくどの年代からでも作成できる。
幼少期の情報は大切で、就学前から作成することで、子どもの成長過程を振り返ることができる。
2.講義 「就学に向けた支援~切れ目のない支援~」
今回の研修には、園小中学校や事業所の先生方、市の幼児・児童に携わる関係課の職員が参加しました。様々な立場から、就学に向けた支援を考えていけるよう、閑念先生から【実態把握・合理的配慮・連携】の3つのキーワードを挙げながら進められました。
【キーワード1.実態把握】
実態把握(アセスメント)の方法
1.聞き取り(本人、保護者、関係者から)
2.行動や記録
3.調査
※関係機関が実態をしっかり把握し、連携をとっていくことで理解協力や情報共有につながっていく。
サポートファイルの活用には
〇誰が見ても分かりやすい
〇子どもの実態に応じて必要なことを記録
〇言葉の選び方や内容量の精選が必要
【キーワード2.合理的配慮】
みんなにとってその支援のほうが良い必要な支援は「ユニバーサルデザイン」。
「合理的配慮」は、本人の発達特性に応じたもので、本人・保護者の合意が必要です。合理的配慮には、文部科学省が示す3観点11項目があり、「インクルDB」という事例集も校種、学年、障害に応じて検索できることも学びました。
【キーワード3.連携】
関係機関との連携は、教育(保育)、家庭、福祉、医療、療育等があり、それぞれが役割を担っている。療育手帳があることで、相談できる機関が広がること、関係機関(関係者)が実態をしっかり把握し、連携をとっていくことが大切であると学びました。
3.サポートファイル演習
グループで、子ども園からの事例をもとにしてサポートファイルの記入の仕方を考えていきました。
閑念先生から「小中学校の先生が、どんなことを知りたいのかを伝えるといいですよ。そこから書くことが見えてきます」とヒントもあり、グループで活発に意見を出し合うことができました。
3つのキーワードを基に、中学校区ごとの園・小・中教員(市関係者が記録)で集まり、実際に担任の話を聞きながら園児のサポートファイルを作っていました。
特性の把握について伝え合ったり、小中学校の参加者(特別支援担任やコーディネーター)から、小中学校から見て記入してほしいポイントを聞いたりすることで、校区ごとの情報交換にもつながりました。
【演習後の感想】
ー園からー
小中学校の先生方からサポートファイルでどのようなところが知りたいのか、支援につながるのかを話すことができ、今後サポートファイルを記入するときのポイントがわかる良い時間となった。
幼小中の連携といっても機会がないので、貴重な時間となった。
ー小中学校からー
園の先生方とじっくり話ができたことで、お互いにどんなことが知りたいのか、求めているのか等、知ることができたのが良かった。
グループで頭を寄せ合うことで「この子」についての理解が深まると思いました。次につなげるための引き継ぎについても話し合えてよかったです。
サポートファイルの書き方を、小中学校の先生と一緒に考えることで、良い交流の場となったようです。
9月28日特別支援学習会受講生感想(PDFファイル:784.4KB)
この記事に関するお問い合わせ先
西脇市教育委員会 教育創造部 幼保連携課(幼児教育センター)
〒677-0052
西脇市和田町688-47(旧しばざくら幼稚園内)
電話:0795-22-2432
ファックス:0795-22-3156
問い合わせフォーム
更新日:2023年03月08日