日本酒の可能性を追い求め、山田錦の産地へ
金子敦司さんは埼玉県出身。大学の農学部を卒業後、名古屋の酒蔵で日本酒づくりをされていました。
「日本酒の原料である酒米について、もっと深く知りたい」と、2009年頃から西脇市を訪れ、酒米「山田錦」の栽培を始めた金子さん。
現在は住所を西脇市に移し、1年のうち半年は市内で酒米づくりをされています。そして残りの半年は名古屋に帰り、自ら収穫した酒米で日本酒づくりをされています。
(以下、金子さん談)
日本酒の原料をもっと深く知りたい
山田錦を自らの手で育てるようになったのは、フランスのワインづくりに影響を受けたからです。
フランス人に日本酒を紹介するとき、必ずと言っていいほど原料の話題になります。
「この酒はどんな原料でつくっているんだ?」、「どんなところで米を育てているんだ?」と。
フランスでは、どこのワイナリーでもぶどう畑を所有し、自ら育てたぶどうでワインをつくるのが当たり前です。それと同じことが、自社の日本酒ではできていなかったことに気づかされたんです。
世界で評価される日本酒をつくるためには、原料である「米」についてもっと深く知らなければならないと感じました。そこで、酒米「山田錦」の産地である西脇市を訪れ、自社の日本酒のための酒米を育てるようになりました。
現在は自社で田を取得し、社員3名で酒米づくりに取り組んでいます。
年々、いただく野菜の量が増えた
西脇市内で酒米づくりを始めた当初は、地元の農家の方々に認めてもらえるかどうか、不安もありました。
米づくりはほとんど未経験からのスタート。地元の農家の方々に教えてもらうことばかりでした。時には播州弁で怒られたりすることもありましたが、それでも毎朝5時から田んぼに出て、懸命に作業をしていました。
その甲斐あってか、少しずつ地元の方々に認めてもらえるようになりました。年々、近所の農家の方々からいただく野菜の量が増えていったのは嬉しかったですね。
今では、地元の秋祭りにも誘ってもらえるようになり、地域に溶け込むことができたと感じています。
農業を仕事にする人が増えてほしい
最近では、地元の小学校で農業についての授業をさせていただくこともあります。
「地元の方々が自分たちの取り組みを評価してくださっているんだ」と思うと、すごく嬉しいですね。
今後の目標は、農業で雇用を生み出すこと。農業を仕事にする人が西脇市内にもっと増えてほしいです。そのために、まずは自分たちの取組を見た人に「農業を仕事にできるんだ」と思っていただけるように、頑張っていきたいですね。
更新日:2019年08月01日