整形外科
診療科の特徴と診療内容
大腿骨近位部骨折手術の早期手術
高齢者の大腿骨近位部骨折は欧米では24~48時間以内の手術が推奨される緊急を要する外傷です。本邦では様々な制約のため手術が数日~1週間程度遅れる傾向にあります。手術待機期間が延びると臥床による合併症(肺炎、尿路感染、下肢静脈血栓症、褥瘡等)のリスクが急増し、せん妄や認知症等の精神症状が発症、進行する場合があります。当科では麻酔科医、内科医を含め手術室、検査部、看護部等の協力・連携の下、できるだけ来院された当日に手術を行う体制を整えています。それにより、現在は手術症例の90%以上は48時間以内に、85%の症例は24時間以内に手術を行うことができています。これにより早期離床、リハビリを行い周術期の合併症が減少するよう努力しています。また、地域の他の病院、開業医と連携(地域連携パスを運用)し当院退院後もリハビリ、ケアを続ける体制を整えています。また、その取り組みの一環として、当院では日本脆弱性骨折ネットワーク(FFN-J)が中心となって進めている日本の大腿骨近位部骨折データベースプロジェクトに参加しています。
日本脆弱性骨折ネットワークデータベースプロジェクト参加について (PDFファイル: 382.0KB)
経皮的椎体形成術(BKP治療法)について
骨粗しょう症などによって起きた背骨の骨折(脊椎圧迫骨折)による背中の痛みを改善させる経皮的バルーン椎体形成術(バルーンカイフォプラスティ:BKP)で、骨折した脊椎(椎体:椎骨の前部を占める半円形の部分)の中で風船(バルーン)をふくらませることによって、椎体がつぶれている状態を整復してから、セメントを注入して固定する手術です。
この治療法は特別な研修を受けた脊椎専門医だけが行うことができるもので、当院も実施可能施設となっています。手術は全身麻酔で行い、約1時間で終了します。手術により背中の左右に5ミリほどの小さな傷が2ヶ所つきますが、大きな傷は残りません。手術後の状態が問題なければ、翌日から歩行を開始し、3日〜7日で退院となります。
手術実績(450件 2020年1月〜12月)
主な手術内容 | 件数 |
四肢外傷 | 242件 |
手の外科手術 | 36件 |
脊椎手術 | 42件 |
人工関節置換術 | 36件 |
人工骨頭置換術 | 27件 |
その他の手術 | 67件 |
当院は、公益財団法人日本整形外科学会が実施する「日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)構築に関する研究」に参加しています。
地域医療機関の先生方へ
当科は慢性的に満床状態で、地域医療機関の先生方にはご迷惑をお掛けしています。入院が必要な患者さんにはできるだけ早急に対処させていただきますので、遠慮なくご紹介ください。
医師紹介
大内 聖士
- 整形外科主任部長
資格
- 日本整形外科学会 整形外科専門医
- 日本整形外科学会 認定スポーツ医
- 日本整形外科学会 認定脊椎脊髄病医
- 日本整形外科学会 認定運動器リハビリテーション医
- 日本人工関節学会 認定医
医師 | 役職 | 資格 |
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伊藤 淳 |
部長 |
日本整形外科学会 専門医 |
深澤 高広 |
部長 |
日本整形外科学会 専門医 |
折戸 彬 |
医長 |
日本整形外科学会 専門医 |
生田 智輝 |
医員 |
日本整形外科学会 |
佐藤 啓三 |
医監 |
日本整形外科学会 専門医 |
更新日:2024年07月08日