心のスケッチ(2026年度)

更新日:2026年08月21日

8月・・・東播磨の戦争の記憶

 東播磨の戦争遺産としては、加西市の鶉野飛行場跡がよく知られていますが、もう一つ加古川市にも飛行場(加古川飛行場)がありました。昨年の黒田庄地区の人権講演会でその存在を知り、加古川市立尾上公民館を訪ねて、館長の木村浩一さんと「加古川飛行場を記録する会」の上谷明夫さんにお話を伺いました。
 お二人によると、加古川飛行場は、国内の軍事飛行場を結ぶ中継地として建設され、加古川の河口に、三角形に配置された5本の滑走路と通信兵の訓練施設を備えた大規模な飛行場でした。終戦が近づくと、全国から鹿児島県の知覧飛行場へ向かう特攻機の整備や燃料補給を行う中継地となりました。特攻隊員は飛行場近くの「中村屋」に宿泊し、家族と一緒に最期の時間を過ごしました。中村屋には多くの特攻隊員の遺書が残されており、戦後は宿を営むご夫婦が慰霊碑を建て、供養を続けました。
 中村屋の閉館後、遺書と慰霊碑は市内の鶴林寺に移され、現在も大切に保管されています。また、尾上公民館では、加古川飛行場に関する資料を展示しており、地域の戦争の歴史を学ぶ場となっています。
 この夏で戦後81年を迎えます。私たちが平和に暮らしてこられたのは、戦時を生き抜いた人々の努力があったからです。しかし、近頃のウクライナ情勢やホルムズ海峡を巡る報道に触れると、国際情勢の不安定さが身近に迫っているように感じられます。今こそ、平和の大切さを次の世代へ伝えていくことが必要です。
 この夏、鶉野飛行場跡や尾上公民館、鶴林寺などを訪れ、地域に残る戦争の歴史を学び、平和について考える時間を持ってみませんか。

「人権講演会」といえば・・・

 人権講演会といえば、毎年8月に市内各地区で開催される「人権文化をすすめる市民運動」推進強調月間講演会を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
 令和元年には月間講演会に地区を越えて参加していただけるように「講演会めぐり」の企画が行われました。参加者にはスタンプカードが配布され、講演会ごとに参加スタンプが押されるというもので、3カ所以上参加した方には、記念品が贈呈されました。
 私自身も参加者として「様々な人権課題を巡る旅」をイメージながら、8地区の講演会のうち7会場を巡りました。旅をするのと同じように、それぞれの講演会では、これまで知らなかった考え方やさまざまな人々に触れ、新たな気付きを得ることができるなど、とても有意義な機会となりました。
 しかし、その翌年から新型コロナウイルス感染症の影響で、地区別の講演会は2年間中止になりました。当時のスタンプカードと記念品の人権啓発冊子は、私にとってより思い出深いものとなり、今でも大切に手元に置いています。
 地区別の講演会が再開されて、今年で5年目を迎えます。地区ごとにテーマを変え、多様な学びができるよう計画しており、多くの市民の皆さんに参加いただいています。オンライン配信でも講演を聴くことができるようになり、より参加しやすくなりました。
 今年の推進強調月間には、市内各地区で7回の講演会を予定しています。スタンプカードの配布はありませんが、関心のあるテーマや講師をチェックしながら、旅に出るような気分で人権講演会に参加してはいかがでしょうか。

子どもたちが教えてくれた、大切なこと

 私が以前勤めていた小学校のいじめ防止基本方針には、「さまざまな個性を持つ子どもたちが存在するから学校は生き生きとしている」と記されていました。
 教室には、人前で話すのが得意な子もいれば、じっくり考えてから言葉にする子もいます。また、友達と一緒に過ごすことが好きな子もいれば、一人の時間を大切にする子もいます。一人一人違いはありますが、どの子にもそれぞれの良さがあります。
 こうした違いが肯定的に認められると、子どもたちは安心して自分らしく過ごすことができます。しかし、違いが受け入れられない雰囲気の中では、自分の思いを言葉にすることが難しくなってしまうこともあります。だからこそ学校では、一人一人の感じ方や考え方を大切にし、心穏やかに伸び伸び過ごせる環境づくりが欠かせないものとなります。
 学校では、子どもたちのさまざまな姿を目にします。友達が失敗して落ち込んでいるときに、何も言わずにそっと寄り添う子もいれば、自分とは違う考えに「そういう考えもあるね」と受け止め、耳を傾ける子もいます。こうした日常から、子どもたちは共に思いやることを自然に学んでいるのではないでしょうか。
 私たち大人の社会にも、さまざまな考え方や生き方を持つ人がいます。教室での子どもたちの姿は、違いを認め合い、支え合いながら生きていくことの大切さを大人にも教えてくれているように思います。誰もが「このままの自分でいい」と感じることができ、生き生きと暮らせる社会をみんなで作っていきたいものです。

父のドキドキワクワク

 私は帰省するたび、父と釣りに行くのが恒例となっています。父はいつも私が使う釣りざおや、道具の準備をして待ってくれています。父は私が幼い頃から、休みになるたびに釣りに連れて行ってくれました。今も一人で釣りに出掛けては、慣れないスマートフォンを使って釣果を伝えてくれます。そんな姿を見るたびに、年齢を重ねても熱中できるものがある父をうらやましく感じることがあります。
 令和7年9月現在、日本の高齢者人口は3,619万人に上り、総人口に占める割合は過去最高の29.4%となっています。高齢者が尊厳を保ち、安心して暮らせる社会の実現が求められる中、豊かな知識や経験を生かして、仕事や地域活動に積極的に参加する高齢者が増えており、働く意欲のある高齢者の雇用を推進する企業も着実に増えています。
 80歳で3度目のエベレスト登頂を成し遂げた三浦雄一郎さんは、年齢にとらわれず挑戦を続ける理由を問われ、「エベレストが私にとって一番ドキドキワクワクできる場所だからです」と答えています。その「ドキドキワクワク」する気持ちは、他者との比較や優劣とは無関係な自分の心の感覚です。誰もが自分らしく輝ける社会を実現するためのヒントは、こうした高揚感や好奇心の中にあるのかもしれません。
 かつて、父が持ってくれていた釣りざおや道具は、いつしか私が持つようになりました。それでも、釣りに出掛けるときの父の生き生きとした姿は、今も昔も変わりません。年齢にとらわれず、身近な関心や高揚感を原動力に、地域や社会と関わっていくことが、誰もが自分らしく生きられる社会づくりの第一歩になるのではないでしょうか。

歩み始める人へ ~いつも隣に多くの人が~

 4月を迎え、自分は何を大切にし、どんなことに力を注ぐのか、考える人も多いと思います。

 皆さんはご存じでしょうか。ヘレンケラーが尊敬する日本の偉人として紹介した塙保己一を。塙保己一は江戸時代後期に活躍した全盲の学者です。日本のさまざまな分野の貴重な文献を集め、正しいものだけを種類別に編纂。「自分の道はこれしかない」と学問の夢を諦めず努力しました。目が見えないため、教師の話や人が読んでくれた内容を耳で聞いて暗記しました。この頑張りには、「好きな道を目指すのは結構なこと」と励ます温かい師匠の言葉や周りの人々の理解と協力がありました。

 私たちの周りには、困難を抱えながらも懸命に生きている人がいます。そして自尊心を失わず、夢や希望に向かって努力を続けている彼らの隣には、理解ある誰かの存在があると思われ ます。「あの人のあの言葉があったから、一歩踏み出せた」という経験をした人はたくさんいるのではないでしょうか。気が付けば、多くの人に支えられていたと自覚することがあります。

 人は、人とのつながりの中で成長していくものだと思います。当たり前のようですが、私たちは普段、その大切さを意識しながら励まし合 ったり信頼関係を築いたりする機会が意外と少ないのかもしれません。だからこそ、この時期から、隣の誰かを意識して歩みを進めてみてはいかがでしょうか。

 「若いときは自分のために時間を使い、年を重ねると他の人に時間を使うように」と、ある方が語りました。西脇市には「温かな人情」が日々の暮らしの中に感じられます。これからもその良さを大切にしながら、他者を思いやる心を持ち続けていきたいものです。

この記事に関するお問い合わせ先

西脇市教育委員会 教育管理部 人権教育課

電話:0795-22-3111(代表)
ファックス:0795-23-8844
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