心のスケッチ(2025年度)
空気を変える?「笑顔」の力【6月号】
子どもが約350回、大人が約15回。この数字は、一日に笑う回数だそうです。皆さんは毎日どれぐらい笑っていますか。
今年の3月まで私は学校に勤めていました。 子どもたちのふとした瞬間に見える小さな変化や成長が大きな楽しみであり、体が震えるほど感動し、教師という仕事に充実感と喜びを感じていました。そんな私には大切にしていたことがあります。それは子どもたちと出会う朝の教室は、必ず「笑顔」であいさつをすることです。
笑顔が必要だと感じたのは、ある先輩が担任するクラスの子どもたちを見たときでした。昼休みの放送で先生の生歌を放送したり、ハロウ ィーンでは仮装をして廊下を歩いたりと、本当に生き生きと自由に生活する子どもたちの表情が、私には光り輝いて見えました。先輩を「自分とは何が違うのだろう」と観察していると、いつも笑顔で過ごしていることに気が付き、まずはそれだけでも真似をしようと考えました。
毎日続けることは難しく、体調や気分に左右されることがありましたが、笑顔を意識して過ごすうちに、肩の力を抜いて子どもたちと向き合うことができるようになっていました。
気が付くと、教室には子どもたちの笑顔が増え、前向きな言葉が生まれるようになりました。私が笑顔で過ごしたことが、子どもたちにどれだけ影響したかは分かりませんが、笑顔の大切さを知る機会となりました。
現在、私は市内のさまざまな地区の方とお出会いすることが増えました。温かな笑顔で出迎えていただくたびに、笑顔のもつ大きな力に勇気と安心をもらっています。
市内をさらに明るくするのは、皆さんの笑顔かもしれません。
私と母【5月号】
私は、この数年で耳が聞こえにくくなり、人の会話もはっきり聞き取りにくいことがあります。特にコロナ禍からは、マスクをする方が増え、声がこもる上に口元が見えないため、さらに分かりづらくなりました。一番困るのは、電話応対です。「すみません。もう一度…」と、1回は聞き返せても、2回目はなかなか言えません。なぜなら私には一度、「もう、ええわ」と電話を切られた経験があるからです。最近では1回で聞き取ることができなかったら、前もって耳が聞こえにくいことを伝えてから聞き返すようにしています。以来前述のようなことは ありませんが、今でも電話は緊張します。
私には今年5月で90歳を迎える母が健在で、鉢植えの花の世話を日課に元気に暮らしています。しかし、母も数年前から耳が聞こえにくくなり、2度、3度と聞き返すことが多くなりました。同じことを繰り返し聞かれると、私もついついイライラしてしまい、「もう、ええわ」ときつく当たってしまうことがありました。私は自分が経験したつらい思いを、母にもさせてたのだと気が付きました。
令和5年度における兵庫県の高齢者虐待の報告によると、養護者による虐待が740件あったことが確認されています。虐待をした人は、被害者の息子、夫、娘、妻の順に身近な家族で88.6%を占めています。そう考えると、私もその入り口に立っていたのかもしれません。
以来、母にはゆっくりと話すように心掛け、 大事なことはメモに書いて伝えています。母も来客があれば伝言を書いてもらったり、電話は相手の名前と連絡先を聞いたりして、用件が分かるように、できることをしてくれています。 90歳になって、ますます頼りになる母です。
人権文化の花咲くまちづくりを進めよう【4月号】
新しい年度が始まり、入学式を心待ちにしている子どもたちや、社会人としてスタートされた方など、希望に胸膨らむ季節を迎えました。
この時期に改めて「人権文化」の意味を考えてみたいと思います。兵庫県人権啓発協会によ ると、「日常生活の中で、お互いの人権を尊重することを自然に感じたり、考えたり、行動することが定着した生活のありようそのもの」と定義されています。
人権文化の花を咲かせるためには、日常生活の中で、どんなことが考えられるでしょうか。 例えば、混んだ電車やバスでお年寄りや体の不自由な人に出会ったとき、声を掛けたり自然に席を譲ったりすること。また、雨の日に車で歩行者に出会ったとき、車のスピードを落として、泥水がかからないように相手のことを考えて行動することなど、決して難しいことではありません。
市教育委員会は市民の生活の基盤である町(自治会)での人権教育を進め、人権意識の高揚を図るために、人権教育推進員を委嘱しています。推進員の役割は、人権に関する講演会や学習会に参加し、さまざまな人権課題について学ぶことや、自分の居住する町で開催される人権学習会を企画・運営することなどです。
推進員を務めた方の中には、「望んで引き受 けたわけではないが、いろんなことを正しく知って何でも前向きに考えるようになった」「家事や育児は女性の仕事だと思い込んでいたが、 少しずつ自分も参加するようになり、家庭が明るくなった」などという方もおられます。
市民の皆さんも推進員さんと共に、人権文化の花咲くまちづくりを進めていただけるとうれしいです。
この記事に関するお問い合わせ先
西脇市教育委員会 教育管理部 人権教育課
電話:0795-22-3111(代表)
ファックス:0795-23-8844
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更新日:2025年05月30日