心のスケッチ(2024年度)

更新日:2024年07月01日

アイヌ(人間)【7月号】

皆さんは「イランカラプテ(※)」(こんにちは)や「イヤイライケレ」(ありがとう)という言葉をご存じでしょうか。これは、北海道を中心とした地域に古くから暮らすアイヌの言葉です。ユネスコの消滅危機言語(※)のリストには、国内の8つの言語が掲載されており、中でも極めて深刻な状況なのがアイヌ語です。

アイヌは固有の言語や伝統的な儀式など独自の文化を発展させてきました。しかし、明治以降の同化政策や伝統を担う人々の高齢化などにより、文化の伝承が難しい状況にあります。そんな中、アイヌ文化を積極的に発信する人たちがいます。その一人が関根摩耶さんです。関根さんは、高校3年生のころからアイヌ文化を伝えるため、ラジオやYouTubeなどで配信を始めました。「アイヌのことをかっこいいな、すてきだなと思ってもらえるような入り口をつくりたい」という思いが活動の原点だと言います。

近年、アイヌが登場するアニメや映画が人気を集め、アイヌへの関心が高まっています。しかし、昨年9月の「人権についての県民意識調査」では、特に関心のある人権問題について「アイヌの人々に関する問題」はわずか1.9% で、関心が十分とは言えません。理解を深めてもらうため、市では学びの場を提供しています。

8月26日(月曜日)に開催予定の「人権文化をすすめる市民運動」推進強調月間芳田地区講演会に関根さんが来られます。アイヌの文化を学んだり、アイヌとして生きる人のリアルな声を聴いたりする機会にしてみませんか。
 

※「イランカラプテ」の「プ」は小文字。

※平成21年2月発表のAtlas of Worldʼs Languages in Danger(第3版)。
 ユネスコでは言語と方言を区別せず、全て言語として統一しています。

人権啓発DVDをぜひご活用ください【6月号】

兵庫県では毎年さまざまな人権課題を取り上げた啓発DVDを制作しています。令和5年度制作の「大切なひと」は、「ネット社会における部落差別と人権~誰もが一人の人間として尊重される社会の実現をめざして~」をテーマとしています。

令和2年6月の法務省人権擁護局による部落差別実態の調査では、「部落差別または同和問題という言葉を聞いたことがあるか」という質問に対して、18歳~29歳の34%が「聞いたことがない」と回答しています。このように若い年代の一部の人は、差別の不当性に対する理解が十分ではありません。動画では、差別や偏見に気付かずにSNSや動画サイトへ投稿し、他人の差別意識を助長する情報を拡散してしまうといった問題に焦点が当てられています。若い方に限らず、あらゆる世代の方々にぜひご覧いただきたい作品です。

法務省が掲げる人権課題は17項目あり、昨年は「性的マイノリティー」、一昨年はこどもの人権問題である「ヤングケアラー」をテーマにしたDVDが制作されています。

人権尊重のまちづくりを進めるためには、さまざまな人権課題について学び続け、感覚を磨いていく必要があります。人権教育課では人権教育に役立ててもらうため、啓発DVDと上映機材を貸し出しています。新たな作品を随時追加しており、市ホームページに掲載しています。人権教育のテーマに合わせた作品の推薦も行っていますので、家庭や職場、地域などの集まりの場でDVDをご活用いただき、人権問題について一緒に考える機会を作ってみませんか。

やさしい日本語【5月号】

令和6年4月、住民基本台帳に基づく西脇市居住の外国人は700人余りです。そこで今回は、私たちの会話に欠かせない「日本語」、とりわけ「やさしい日本語」について考えてみます。

平成7年の阪神淡路大震災が起こった際、ライフラインなどに関する情報が日本語と英語のみだったために、多くの外国人に必要な情報が伝わらない事態が起こりました。それを機に、災害時の外国人への情報提供手段として、「やさしい日本語」が誕生したそうです。例えば、次の文を読み比べてみると、B.の「やさしい日本語」の伝わりやすさがよく分かります。

A.容器を持参の上、北公園にご参集ください。
B.入れるものを持って、北公園に来てください。

もちろんこのやさしい日本語は、災害時だけでなく、平時においても大切です。

西脇市役所のインターネットでは、必要な情報を「やさしい日本語」で読むことができます。また、そこでも紹介しているNHKのNEWS WEB EASYというインターネットでは、複数の記事が「やさしい日本語」に書き直されており、自動音声による読み上げ機能もあります。

「やさしい日本語」のポイントは、1.一文が短 い、2.主語がある、3.敬語がない、4.受け身がない、5.分りにくい語がないなどです。この文章ももっと「やさしい日本語」が使えるはずです。ただ、完璧とはいかずとも、私たちが「やさしい日本語」を使おうとする事が、異なる文化に背景を持つ人たちとの共生につながっていくことは確かであると思います。

【参考文献】「やさしい日本語」表現辞典 庵功雄/編著(丸善出版)

地域の人権教育をリード―人権教育推進委員【4月号】

西脇市を人権文化の花咲く住みよいまちにするために、地域で活躍する方々を皆さんはご存じでしょうか。中でも中心的な存在となっているのが、「西脇市人権教育推進委員」です。

市教育委員会が委嘱する人権教育推進委員は、地域社会の人権教育を積極的に進め、市民の皆さんの人権意識の高揚を図る役割を担っています。市内に8つある地区ごとに、おおむね2人を任命。任期は1年ですが、再任を妨げていません。中には10年近く尽力されている方もいます。これまでに、100人を超える方々が人権が大切にされるまちづくりに貢献されてきました。

委員の活動は、年間を通じて多岐にわたります。例えば、地区内の定例研修会や町別学習会、毎年8月に開催する「人権文化をすすめる市民運動」推進強調月間講演会で、会の企画・運営などに携わっています。特に各地区で行う研修会では、コロナ禍を経て、グループになって参加者同士で意見交換をする機会が戻ってきました。委員はグループトークが円滑に進むよう進行役を務めたり、意見をまとめたりし、参加者の理解促進に努めています。  

人権を巡る状況は時代とともに大きく変化し、性の多様性や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)など、新たな課題も認識されるようになりました。委員は各地区での活動に生かすため、主体的に多様な研修会や講演会に参加し、自己研さんにも励んでいます。

今後も西脇市は、人権教育推進委員の方々の協力の下、人権が尊重されるまちづくりを進めます。皆さんも、人権講演会や町別学習会に参加し、人権について考えてみませんか。

この記事に関するお問い合わせ先

西脇市教育委員会 教育管理部 人権教育課

電話:0795-22-3111(代表)
ファックス:0795-23-8844
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