心のスケッチ(2019年度)

更新日:2021年03月31日

かけがえのない命〜卒業生へ贈る言葉から〜【3月号】

ある高校で配布された一枚の学校新聞。そこには3年間の学びを終え、巣立ちのときを迎える卒業生に向けた先生方からのメッセージがつづられていました。

私はその中にある一つの文章が目に留まり、何度も読み返しました。そこにはこう書かれていました。

「あなたが何となく過ごした今日は、昨日亡くなった人が生きたいと願った一日です」

6,434人の尊い命を奪い、未曽有の大災害となった阪神・淡路大震災から25年。その先生は震災を経験していない卒業生に、「命の大切さ」を伝えたいという強い思いを込めてメッセージを書かれていました。

読み続けながら、私は教師を志し、大学で一緒に学んだ友人のことを思い出しました。卒業後、神戸と西脇の地でそれぞれ教師になるという夢をかなえ、私たちは新米教師として日々、子どもたちに奮闘していました。そんな中、この地震は起こりました。

1月17日、友人は住んでいたマンションの倒壊によって亡くなりました。その年の8月には、新しい命が誕生すると聞いていて、友人の無念を思うと今も胸が痛みます。私にとって、一生忘れられない出来事です。

25年がたち、私は友人が子どもたちと共に過ごしたいと願った大切な一日一日を、今も生きることができています。その一方、昨今は児童虐待やいじめが原因で命が失われる事案を、新聞やテレビで見聞きします。命に軽重や優劣はなく、全ての命はかけがえのない唯一無二の存在なのに、なぜ…と、悲しくなります。

卒業式シーズンを迎え、新しいステージへと旅立つ子どもたちには、これから夢や希望をかなえるために、「今日」という一日を大切にして生きてほしいと思います。そして、自分自身やそばにいる人、目の前にいない人など、全ての人の存在を大切にでき、何よりも命の尊厳を大事にする人であってほしいと願っています。

遠い異国の地で〜外国人になって気付いたこと〜【2月号】

10年ほど前の話になります。私が新婚旅行の行き先として選んだ国は、トルコでした。アジアとヨーロッパの境界に位置するトルコは、多様な民族、文化、言語などが混在する多文化社会です。東西文化が融合したエキゾチックな街並みに魅了されたこと、そしてトルコが親日国であったことが決め手となりました。

イスタンブールのグランドバザールで買い物をしていたときのことです。偶然入った店の店主に、「あなたは中国人か?韓国人か?日本人か?」と質問されました。私が日本人であることを伝えると、店主は笑顔で、「よく来てくれた。ゆっくり見て行ってくれ」と私たちを温かく迎え入れ、とても親切に接客してくれました。しかし、その好意を素直に受け止められない自分がいました。「私が中国人だったら、韓国人だったら、店主はどう対応したのだろう」「同じように親切に接客してくれたのだろうか」直接的に差別されたわけではありませんでしたが、何ともいえない後味の悪さを感じながら帰国しました。

私たちの住む日本はどうでしょう。日本と中国、韓国との間には、難しい問題が山積しており、そのことが中国や韓国の人を見る目を複雑にしているところがあります。私たちの国においても、外国人に対して「国」で差を付けているところはないでしょうか。

少子高齢化による人手不足の解消を目的に、外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が施行されてもうすぐ一年になります。今後、外国人と接する機会はより一層増えることが予想されます。同じ人間として、偏った価値観や情報にとらわれることなく、その人の内面を捉えることのできる人でありたいものです。

わが家の前の公園は、夕方になるとにぎやかになります。企業で働く外国人技能実習生が集まり、みんなでサッカーをしているのです。異国の日本に溶け込み生活している彼らを、温かく見守っていきたいと思います。

就職氷河期を思う【1月号】

平成30年度の完全失業率は2.4パーセント。私が学生だった平成14年度は最高値の5.4パーセントで、誰もが就職難を覚悟していました。特に、私が就職活動をしていた頃は「就職氷河期」と呼ばれ、培った知識と技能を生かしたいと意欲的に就職活動をしても、不景気を理由に企業の求人数が少なく、自分が思い描いたような職に就くことが難しい時代でした。

私を含め、就職希望者は企業の目に少しでも留まるようにと、インターネットを使い試行錯誤を繰り返しながら、自分をアピールするエントリーシートを何十社にも送りました。そして、試験や面接を何度も経て、ようやく内定をもらい、就職できない者は非正規雇用として働かざるを得ない状況でした。

そのような中で、私は運良く希望していた地元企業に就職することができました。しかし、友人の中には希望する業種から内定を得ることができず、就職を諦めフリーターとして働く人や、意にそぐわないけれど生活のために就職する人もいました。

あれから約15年。私の周りの人たちは、正規雇用として企業や官公庁で働いています。意欲を失いフリーターとして過ごす中で、自分自身の未来について考え、資金を貯めて学校へ行き直したり、資格を取得したり、試験を受け直したりして就職しています。定職に就いていなかった頃は親戚や近所の人から「なぜ働かないのか」と正規雇用として働かないことを非難されたことがあり、嫌な思いをしたそうです。けれど、家族の支えや信頼があり、乗り越えることができたそうです。

働きたくないから働かないのではなく、働く場所がなかった、選択肢が少なかったのです。仕事ができない人、仕事に就かない人という決めつけがあったのではないでしょうか。

国や企業が、就職氷河期世代の採用に取り組んでいます。一人でも多くの人が自分らしく働くことができれば、と願います。

人権週間に寄せて~ある作品を読んで~【12月号】

日本には「文学賞」と呼ばれる賞がいくつあるかご存じですか。「直木賞」「芥川賞」といった有名なものから、聞き覚えのないものまで、およそ200賞ほどあるといわれています。

その中の一つに「部落解放文学賞」というものがあり、「識字」「記録・表現」「小説」などの7部門に分かれています。今年7月に発表された第45回部落解放文学賞の「記録・表現部門」では、加東市の長谷川和正さんが「恩師・内藤幸雄先生の思い出」という作品で入選されました。近隣にお住まいの方ということもあり、興味を持ってその作品を読みました。

長谷川さんは50年余り前、地元の青年団の同和研修で、後に恩師となる内藤先生(小野市で長年教育に従事)から言われた「君、よく勉強してから後日、出会いましょう」という言葉に奮起し、部落問題の学習に仲間と共にのめり込んだそうです。この受賞作品では内藤先生を船頭役に、部落問題を中心とした人権学習会「どんぐり」の25年にわたる活動の軌跡が作者の目線で丹念に描かれていました。

「どんぐりの会」の仲間が受けた結婚差別や目の不自由な姉を通しての作者自身の被差別体験、さらに、自らが企画した「おもろい同和研修」と銘打った地元自治会の人権学習会が巻き起こした波紋など、どれも事実に基づいた内容で読み手を引きつけるものでした。選者の批評では、「差別を考える姿勢を試行錯誤しながら形成する過程がよく描かれている」と高い評価を受けています。

今年も12月4日から10日までの一週間、「第71回人権週間」関連行事が全国一斉に行われます。これは、私たちの社会に不当な差別などの人権侵害が存在していることを意味しています。自分のそして周りの人の人権にどれほどの関心を示すのか、私たちは今、問われています。

注釈:長谷川さんには、「黒田庄文化祭」でこの作品を基にした講演をしていただきます。

歴史が語る女性と人権【11月号】

「誰に投票したの?」「それは言えないよ」と笑いながら投票を済ませたあとの妻との会話。結婚してから40年がたちますが、二人とも投票を欠かしたことはありません。むしろ投票することに何の疑いもなく、当然のこととして習慣化さえしています。

このような光景を少し立ち止まって考えてみると、80年前には見ることはできませんでした。なぜなら、日本において女性が初めて選挙に参加 したのは昭和21年の総選挙だったからです。それまで「婦人参政権」への運動はありましたが、実現しませんでした。

このことは世界でも一部の国を除いて同じようです。それは社会参加は男性が行い、女性は男性を支えていれば良いという考え方によるものでした。女性の権利が尊重されず、能力においても低くみられたり、「けがれ」意識などの偏見によって差別されたりしていました。

スウェーデンの博物館にあるWomen’s Making History(女性が歴史を創る)というコーナーには、女性への意識を変える運動とともに、労働などに積極的に社会参加を図りながら女性の地位向上に努めた歴史が展示されています。かの国の現代の男女平等社会の礎を見ることができます。

日本では戦後困難な過程を経ながら次第に平等意識が高まり、社会の要請を受けながら、およそ30年前に「男女雇用機会均等法」が施行されました。今は男女が「性別による差別」を受けることなく、あらゆる場所で活躍できる社会ができつつあります。これは教育をはじめ、さまざまな分野で人権意識の高揚に取り組んできたことの現れではないでしょうか。

毎年11月12日から25日まで、「女性に対する暴力をなくす運動(25日は女性に対する暴力撤廃日)」が行われます。これも「豊かな社会」を創る歴史の1ページとなることでしょう。

さて、私たち老夫婦は「秘密」を持ちながら、楽しく投票所にいつまでも行きたいと願っています。

出会い〜知ることから始まる〜【10月号】

皆さんは「人権」をどのくらい身近なこととして感じていますか。昨年度の人権に関する県民意識調査では、「非常に身近に感じる」と答えた人が約11パーセントで、「かなり身近に感じる」と答えた人が約31パーセントでした。半数以上の人は、さまざまな人権課題が存在することを理解しながらも、身近な問題として認識していないようです。

先日、黒田庄地区まちづくり協議会の人権研修会に参加しました。地域の皆さんの前で話されたのは、就労継続支援B型「ドリームボール」を利用する方々でした。就労継続支援B型とは、障害や難病のある方のうち、年齢や体力などの理由から、企業などで雇用契約を結んで働くことが困難な方が、軽作業などを通して就労訓練を行う事業所のことです。利用者の2人は、かつて重い精神疾患に悩まされ、ひきこもりを経験。大勢の前で話すこと、自身のことをさらけ出すことは難しいことであったに違いありません。しかし、この機会を自分自身と向き合うきっかけとして、引き受けられました。

「一度大きくつまづいた人間の一人だからこそ、足踏みしている誰かに気付ける。今度は自分が助ける番。人と関わっていくべきなんだ」と、経験を交えた生の声に、私はぎゅっと胸を締め付けられました。参加者からは「黒田庄に住んでいながらドリームボールの存在を知らなかった」「一生懸命に生きる姿に感動した」「今まで以上に親しみを持って、ドリームボールに関心を寄せていきたい」といった声が寄せられました。日常生活や社会生活に困難さを感じながら生きている人は、想像以上に多く、身近に存在します。そんな人たちを知ることで、人権についてより切実に考えることができたように思います。

市では約60ヵ所で人権の町別学習会を実施しています。身近な問題として、人権を感じてもらえる機会になると思います。お住まいの地域の学習会に進んで参加してはいかがでしょうか。

身近に当たり前にあった 祖父母の手【9月号】

「将来あなたはどんな手になりたいですか」。以前、このような質問をされたことがあります。あなたなら、どのように答えますか。私は祖父母のような手になりたいと答えました。

戦前生まれの祖父母は社会が激動する時代を一生懸命に働きながら、私の父と叔母を育てました。晴れの日は外で仕事。雨の日は家で作業。大工の祖父の手は日に焼けて黒く、たこができてゴツゴツ。 日々の炊事や洗濯、畑仕事をする祖母の手は、節が太くしわくちゃ。冬は霜焼けであかぎれになり、真っ赤な手です。

そんな手で祖父母は孫の私にたくさんのことをしてくれました。軽トラックや単車に乗って、共働きの両親に代わって保育園や幼稚園の送り迎えをし、帰宅した後は一緒に折り紙やあやとりで遊んでくれました。小学生になると学校からおなかをすかせて帰る私に、祖母は甘いあんこのおはぎや畑で育てたサツマイモ を使って大学いもを、料理が得意でない祖父は器用に道具を使いながら、まん丸で一口大のおにぎりを作ってくれ、涙が出そうなくらいおいしかったことを覚えています。

その中でも、私は二人から 頭をなでてもらったり抱き締めてもらったりしたことが何よりも大好きでした。とてもうれしく心が温かくなり、いつも必ず笑みがこぼれました。

小柄な祖父母ですが、二人の手は大きく、私の全てを受け入れ、優しく包んでくれました。私はその手に甘えてばかり。いつでも身近に当たり前にあると思っていました。

今では祖父母も年を取り、不自由になる手。大きく温かった手は、白く、細く、柔らかくなっています。最近は私たち家族だけでなく、看護師や介護士、地域のたくさんの人の手が、祖父母の手となって支えてくれています。 9月16日は敬老の日です。この機会に、祖父母にいつか 二人のように誰かの心を温め、優しさを分け与える、しわくちゃの手になりたいことを伝えたいと思います。

8月にあなたは主人公になる【8月号】

今年も身近な生き方を見つめ直すことを通して人権を考える「人権文化をすすめる市民運動」推進強調月間の季節になりました。

西脇市では兵庫県と連携する中で、昭和46年8月に「差別を許さない市民運動」を始めました。その後、昭和53年からは「差別をなくそう市民運動」として、全ての市民が同和問題について正しい理解と認識を深め、お互いの人権を尊重し、部落差別の無い明るい社会の実現を目指す取り組みが展開されるようになりました。さらに、平成16年にはさまざまな人権課題の解決に向けて、人権尊重の考え方が日常生活に自然と定着するように「人権文化をすすめる市民運動」と改称しました。

現在では『咲かそう!人権文化の花を西脇の地に』を合言葉に、市内各会場で講演会やイベント、人権作文の朗読やポスター展示などを行っています。さらに、街頭啓発活動や啓発資料ゆきちゃんからのメッセージ広報版、横断幕、懸垂幕の作成など、さまざまな取り組みも行っています。

かつて西脇工業高校の校長を務められた堀井隆水さんは、自身の著書の中で、次のようなことを書かれています。「誰もが日常の中の生活様式・行動様式といった生活文化を見直す中で、差別につながる生活文化に気づき、それを改める訓練を重ねていくことで、自分自身の生活文化が豊かになり、結果的にあらゆる差別を生まない生活文化を創造することができる」と。

西脇市がこの50年余りにわたって進めてきた一人一人の人権が大切にされる社会の実現を目指す取り組みは、まさに人権文化の花で市民の日々の暮らしを彩ろうとするものです。毎年、人権標語・ポスターの作品制作に関わる児童生徒、保護者が3,000人、講演会への参加者が1,300人、そして他の催しも含めると4,000人をはるかに超える方にこの運動に参画いただいています。「8月の人権文化をすすめる市民運動」は、まさに市民の皆さんが主人公なのです。

「また来て働きたい」~異国の地・西脇~【7月号】

どこの国の言葉か私には分かりませんが、朝夕に大きな弾んだ声で話されている外国籍の人に最近よく出会います。西脇市では外国籍の人は毎年増えており、現在600人を超えています。そして、その約半数が技能実習生などの短期就労者です。

私は働き場所を求めて来日している外国人を見掛けると、以前私がネパールに滞在したときに知り合ったNさんのことを思い出します。

彼はさまざまな国で働いてきたそうです。「もっと長く働きたい」と思う国もあれば、「もう行きたくない」と思う国もあると話してくれました。その国では給料などの待遇も十分ではなく、仕送りが思うようにできなかったと話していました。そして、ネパール人は文化水準が低い人と見られたり、自分の信じる宗教を尊重されず異教徒扱いを受けたりしたそうです。何より憤りを感じたのは、自国民優先で外国人に対する差別的な対応だったようです。この思いを持ったのは彼だけかもしれません。しかし、私は彼の言葉を聞いて「はっ」としました。私にも外国の人に対してそのような気持ちが無いだろうかと。

「入管法」の改正などによって、外国人労働者が今後増えると予想されます。異文化の尊敬と人としての尊厳を認める対等な関係、多文化共生こそが「日本に来てよかった」と感じるものになるのではないでしょうか。

市内のある企業では「待遇などの平等」を合言葉に、異文化への配慮や、外国人就労者が地域の田植え体験などに参加して尊重し合う関係を持てるようにしています。言葉や習慣などさまざまな「壁」もありますが、「また来て働きたい」という言葉を残して帰国していると聞きました。

「私の国では、人々の間でこれほど思いやりを感じることはありません」と最近市内に住まわれた外国人から感想を聞きました。誰にでも思いやりでもてなす西脇の良さを感じていただき、うれしくなりました。

生きている証しを刻む【6月号】

私の父は6年前に還暦を迎え、セカンドキャリアをスタートさせました。たまに出会ったときに仕事の話をすると、「自分のやってきたことを生かせる職場は、なかなかないなぁ」と言って肩を落としていました。こんなに弱気な父の姿を見るのは、初めてでした。父と同じような悩みを抱えている方はたくさんいるのではないかと思います。

平成30年度に行われた人権に関する県民意識調査では、高齢者の人権に関して「働く意欲や能力があるのに雇用と待遇が十分保障されていないこと」について、およそ33パーセントの人が問題だと回答しています。

働く意欲もある。豊富な知識や経験もある。だけど、高齢というだけで働く場が十分に確保されないということが現実に起きているようです。働くことだけが、全てではありません。家族との時間や趣味の時間を充実させるという選択肢もあります。しかし、「期待されたい」「必要とされたい」「役に立ちたい」という思いは、大切にしていきたいものです。

新元号「令和」には、『春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたい』という願いが込められていると聞きました。 誰もが生きていることの証しを刻むことのできる社会であってほしいと思います。

「子は親の背中を見て育つ」 とよく言われます。私は黙々と働く父の背中を見て育ちました。父からは、与えられた役割をやり遂げることの素晴らしさや、人の役に立つことの喜び、そして目標に向かって努力することの充実感など、さまざまなことを教わりました。そんな父を今でも尊敬しています。

私は父に対して、感謝の気持ちや尊敬の思いを伝えずに過ごしてきました。照れくさいですが、父の日には、素直に感謝の気持ちや尊敬の思いをバラの花とともに届けようと思います。

ジュニアじんけん教室の取り組み【5月号】

山や海へ出掛けたくなる季節になりました。キャンプなどの体験に勝る学びはありません。その機会が今、少なくなってきています。そこで、西脇市では子どもたちが地域の方と触れ合いながら、市内各所でいろいろな体験活動を行う「にしわきジュニアじんけん教室」を開催しています。

昨年度は、6月の田植え体験を皮切りに、盲導犬との触れ合いや地域でのボランティアなど、一年を通じて16回の体験活動を行いました。参加者は市内の小中学生と5歳児、その保護者です。そして、障害がある人、外国籍の方や大学生などです。子どもたちが普段、接する機会の少ないいろいろな人が集まり、延べ962名が交流を深めました。

私たちは体験活動を通して、人権を身近に感じてもらうために、大切にしていることがあります。それは、住んでいる所や年齢、性別にとらわれることなく、人と協力し触れ合う機会を作ることです。

例えば、グループを組み、リーダーが司会や引率をし、地域の方や学校園の先生がサポートします。特に参加した小学生にとって、優しく声を掛け一緒に遊んでくれる中学生、大学生のリーダーの人気は絶大です。楽しかったという感想を多く聞きました。その他にも、「手話を覚えることができてうれしかった」「盲導犬は目の不自由な人にとって大切だと分かった」など、きずなや喜び、気付きに関する心が温まる感想がありました。指導やサポートをしてくださった皆さんの心の温度もきっと高まったことと思います。

私たちは子どもたちが力を合わせ、より良い社会を築こうとする姿勢や、住んでいる地域を「好きになる」「大事にする」心が育っている手応えを感じています。

平成30年度人権教育啓発資料「ゆきちゃんからのメッセージ」に、活動の様子を掲載しています。ぜひ、ご覧ください。みんなでこころ豊かなふれあいをしてみませんか。

これからの時代の「学び方」〜新学期を迎えて〜【4月号】

満開の桜の下、色とりどりの大きなランドセルを背負い、歩いて登校する小学1年生。子どもたちはそれぞれの夢や希望を胸に、元気に学校生活をスタートさせることと思います。ある研修会で、これからの教育について、次のような話を聞きました。

 

『多様化の時代に、子どもたちに特に身に付けてほしい力には次の2つがあります。それは「コミュニケーション力」と「人間関係を築く力」です。そのため、学校では自分の考えをしっかりと持ち、周囲とより良い人間関係を築くため、さまざまな体験を取り入れた教育活動を展開しています。

普段の学校生活で、子どもたちに意識してほしいことが4つあります。

  • 人の話をしっかり聞くこと。(Listen)
  • 心を開いて思いを受け止めること。(Open)
  • 声に出して自分の思いを伝 えること。(Voice)
  • どんな活動でも楽しむこと。 (Enjoy)

偶然にもこの4つの英単語の頭文字をつなぐと、「L ・ O ・ V ・ E」となります。言い換えれば「好き」という意味です。私はL ・ O ・ V ・ Eを、「自分が好き」「あなたが好き」「今やっている活動が好き」というように考えています。

それは、「自尊感情や自己有用感」「友だちと一緒に学ぶことの楽しさ」「達成する喜びや達成感」にもつながってきます。 そして、「新たな意欲」が芽生えると考えます。

 

研修会を終えた後も、呪文のように、4つの英単語が頭 の中をぐるぐる回っています。やや強引に結び付けられた話だ、という印象はありますが、妙に納得している自分に気付きました。

昔、祖父から「好きこそ、物の上手なれ」と聞いたことが頭に浮かびました。改めて、興味や関心を持ち、自ら学んでいくことの大切さを認識しました。学ぶことを「好き」 になって、楽しく元気に有意義な学校生活を送ってほしいと願っています。

この記事に関するお問い合わせ先

西脇市教育委員会 教育管理部 人権教育課

電話:0795-22-3111(代表)
ファックス:0795-23-8844
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