心のスケッチ(2017年度)

更新日:2021年03月31日

「性の多様性」を認め合うことの大切さ【3月号】

 ある研究会に参加をしました。テーマは、『「性の多様性」を認め合う子どもたち』でした。冒頭の挨拶の中に次のようなフレーズがありました。

 近年、性的マイノリティ(LGBTなど)の人たちへの社会的関心が高まっているにも関わらず、その理解は十分に進んでいるとは言えません。その性的マイノリティの人の割合は、調査によっては7.6%(2015年電通調査)とされており、13名に1人という割合になります。

 それを聞いた小学校の先生が思わずつぶやきました。

「私が担任しているクラスにも2~3人はいるんだなあ。ということは、私自身にとって喫緊の課題なんだ」と。

 研究会の中で、「性の四つの捉え方」について説明されました。

  • 「身体の性」・・・生まれながらの性のこと
  • 「心の性」・・・自分で認識している性のこと
  • 「社会的な性」・・・「女らしさ」「男らしさ」や服装などの性表現のこと
  • 「好きになる性」・・・恋愛感情、性的欲求の対象となる性のこと(性的指向)

 そして、「身体の性」「心の性」「社会的な性」が男(♂)で「女性を好きになる人」を「男性」であるという考えが多数派(マジョリティ)を占めています。反対に「身体の性」「心の性」「社会的な性」が女(♀)で「男性を好きになる人」を「女性」である考えられています。  

 しかし、それは一面的な考え方で、そうでない人もいるのです。「世の中、男女2つにしか分けられない」「異性を好きになるのが当然」というわけではないという認識はとても大切なことだと学びました。

 「性の多様性」を理解し、認め合うことは、全ての性の在り方が認められ排除されない学級や地域づくりにつながるということを強く感じました。

 

[解説] LGBTとは次の頭文字をとってつけられた語句

  • レズビアン(L)
  • ゲイ(G)
  • バイセクシュアル(B)
  • トランスジェンダー(T)

手話研修会を受講して【2月号】

 先日、手話研修会に参加しました。今まで何度か手話研修会を受講しましたが、日々の中で使う機会が少なく、一から学びなおすという気持ちで受講しました。

 研修会の資料の中で、市内に住んでおられる聴覚障がいのある方に、生活の中で困ることのアンケートを取られた内容があり以下のような意見がありました。「お店のレジで店員に話しかけられてもわからない。」、「落し物をしたとき、呼ばれてもわからない。」職場で「社内放送が聞こえない。自分だけが知らないままだった。」また家庭や地域で、「地域の人たちに聴覚障がいについて知ってもらいたいがそのような機会が少ない。」、「一対一なら身振り手振りで何とか分かるが、大勢が話していると全くわからない。」

 健常者には伝わりにくい苦労がたくさんあることがわかりました。

 研修会では、お礼や自己紹介、簡単なあいさつの手話を教えてもらいました。手話通訳されている方は、特別な能力を持った方だと思っていましたが、研修会を通じて身近に感じることができました。

 平成29年4月に「西脇市手話言語条例」が施行されています。手話をひとつの言語として認め、聴覚障がいのことを理解し、障がいがあってもなくてもスムーズに、日常的に手話を使い意思疎通のできる社会を目指す内容となっています。

 昨年11月に開催された西脇市人権教育研究大会の全体会で、片山市長があいさつの終わりに手話でありがとうございましたとお礼を言われました。手話を覚えるには、普段からあいさつするときに、意識して手話を添えて会話すればいいのだと気付きました。市長の手話から大きなヒントを貰いました。耳の不自由な方にとっても嬉しい一コマだったと思います。

 西脇市では、聴覚障がいのある方だけでなく、多くの人が自然に手話を使える環境になるよう願いを込めて、研修会で学んだ手話を日々の生活の中で使い続けていきたいと思います。

誰もがすごしやすい社会をつくるために【1月号】

 昨年11月、西脇市人権教育研究大会に参加しました。西脇北高校4年生の藤原すみれさんと聞き手役との対話形式で行われたたシンポジウム「誰もが過ごしやすい社会に」はとても心に残りました。藤原さんは生まれつき脳性まひの影響により車椅子生活をされ、トイレ、入浴、食事など日常生活の中で介助を必要とされます。

 そのような中、自らの体験と夢を語られた「第66回兵庫県高校定時制通信制生徒生活発表大会」(一昨年10月開催)において、最優秀を受賞されました。翌月11月には全国大会にも出場さています。

 シンポジウムは生活発表大会での作文朗読から始まり、障害があることを理由にアルバイトを断られたこと、ボランティア活動を通じて地域や周りの人たちと信頼関係を築くことができたことなど実体験を交えて話されました。その中でも特に印象に残ったのが、「自立のために、一人暮らしをすることが私の夢です」というお話でした。

 健常者にとっては当たり前に感じることも、障害のある方にとってはとても難しいことがあることに気づかされました。藤原さんは来年の春から大阪の専門学校へ進学される予定で、一人暮らしをするという夢を叶えるために様々な努力をされています。通学や介助のことなど、不安や課題があっても「私は夢をあきらめたくありません」と力強く話されている姿に感銘を受けました。

 聞き手役の方は「障害のある方が自ら声を届けることにとても意義がある」と話されていました。一昨年4月に障害者差別解消法が施行されました。障害のある方への理解は深まってきていますが、まだまだ「合理的配慮」が足りないと感じる場面があるとも言われました。

 シンポジウムに参加して、藤原さんの夢を語る姿に勇気をもらい、気持ちが熱くなりました。誰もが過ごしやすい社会をつくるため、今の私にできることをやっていこうと決意しました。

西脇市人権教育研究大会シンポジウム

じんけん教室に参加したある中学生の気づき【12月号】

 今年度も体験活動を通して人権感覚を磨く学びの事業「にしわきジュニアじんけん教室」を実施しています。人権教育室で計画している年間25の活動に、子どもたち、大学生、地域の方々が参加されています。

 参加者は毎回活動を終えた後にそれぞれの学びについて感想文を書きます。その中で特別養護老人ホームの方々との交流会に参加したある中学生の気づきが心に留まりました。

 「私は今までにない体験をしました。大勢の方の前に立ち、マイクを持って全体進行をしたこと、高齢者の方たちと話をしながら敬老会の準備をしたことなど、たくさんのことに挑戦しました。その中で驚いたことがあります。施設の方の9割が車椅子を利用されているということです。一緒にレクリエーションをしているときに車椅子の補助をしていると、小さな段差でも車椅子の方にとってはとても不便だと知りました。便利なはずの自動ドアは少しでも入り遅れると、挟まれてしまい、凶器になることも分かりました。これまでと見方が変わりました。そのことを知った今の私だから、できることがあると思います。」

 この中学生は、じんけん教室での体験を通して、知ってはいても身近に感じられなかった「高齢者の人権」や「介護する人の気持ち」を自分に引き寄せ、向き合い、つながりを意識したのでしょう。これまではどこか「他人事」だった高齢者の生き方や介護する人の立場を「自分事」として捉え、これから関わっていきたいという思いが伝わってきました。

 さまざまな経験をすることで、自分から積極的に周りの人・こと・ものと関わり、さらにその関わりを自ら深める力は、互いの人権を認め合い大切にできる社会を創っていくために必要な力となります。その力を、西脇市の子どもたちが主体的に身に付けようとするたくましい姿に接することができ、大変うれしく思いました。

高齢者の方々と子どもたちの交流会

共生社会の実現に向けて~法律施行を受けて~【11月号】

 この夏参加した研修会で「昨年は、人権に関する3つの法律が相次いで公布・施行されるなど、法制度の面で大きな動きがありました」という話を聞きました。その法律とは、「障害者差別解消法」「ヘイトスピーチ解消法」「部落差別解消推進法」の3つのことでした。

 「障害者差別解消法」の内容について、これまで研修会でも学び知っていましたので、「ヘイトスピーチ解消法」と「部落差別解消推進法」について調べてみました。

 「ヘイトスピーチ解消法」は正式には「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(本邦とは日本のこと)といい、7つの条文から成っています。その第一条には「本邦外出身者に対する不当な差別的言動(いわゆるヘイトスピーチ)の解消が喫緊の課題であることに鑑み」とありました。この法律が、国籍のちがい等によらず、お互いを理解し、多文化共生社会の実現に通じることを願います。

 「部落差別解消推進法」は昨年12月16日に施行された法律で、正式には「部落差別の解消の推進に関する法律」といいます。6つの条文から成っており「部落差別」という文言が初めて使われた法律です。

 第一条には「この法律は、現在もなお部落差別が存在するとともに、情報化の進展に伴って、部落差別に関する状況の変化が生じていることを踏まえ」とありました。

 近年、インターネットで収集した差別を助長するような情報をネットの匿名性を利用し発信するといった行為が見られます。情報化の進展に伴って間違った認識や差別意識を広める行為は許されないことであり、このこともこの法律の成立、施行にもつながったのだと知りました。

 今月は「家庭・地域・学校園・職場が連携し、人権尊重の精神に徹した教育・啓発をしよう」をテーマとして、人権教育研究大会が開催されます。実践交流を通して学びを深め、人権感覚を磨くため参加しようと思います。

高齢者介護について【10月号】

 近年、よく目にする高齢化社会という言葉が気になり、ふと調べてみたところ、日本は高齢化のスピードが世界で一番だということがわかりました。現在、日本の高齢化率(65歳以上人口が総人口に占める割合)は27.3%で約4人に1人が高齢者です。そして、高齢者人口は今後も増え続けると予想されており、約50年後には高齢化率約40%になると推計されています。このように高齢化が進むにつれて、ひとり暮らしや高齢者夫婦のみの世帯、介護力の弱い少人数の世帯がますます増加し、医療・介護ニーズが高まることが予想されます。

 先日、高齢者介護に関する人権学習会に参加し、高齢者介護に関する実状を学んできました。講師の方は、市内の介護施設でケアマネージャーとして働かれており、現場で介護者と接する中で心掛けていることや、認知症の方の兆候等について詳しく教えていただきました。講話の中で一番印象に残ったのは、京都で起こった介護疲れによる殺人事件でした。

 病気で父親を亡くされた直後に母親の認知症が判明した息子さんのお話でした。認知症判明後から10年後には、夜中の徘徊を繰り返すようになり、介護に専念するため仕事を休職されました。その影響で収入がなくなり、生活保護を申請するも休職を理由に認められず、その間に認知症の症状は進行し、止むなく退職されました。退職後は介護サービス費用や生活費に困窮し、ついには無理心中をするまで追い詰められたそうです。この話を聞いたとき、胸が締め付けられる思いと同時に、誰か一人でも息子さんの気持ちに寄り添える方がいたら、このような事件を防ぐことができたのではないかと思いました。

 介護を受ける人、そしてその家族の方全員の人権が大切にされるべきであり、そのために介護サービスがあるのだと改めて勉強になりました。誰もが通る道であるからこそ、自分のこととして考えていきたいです。

夢への挑戦~障害のある人もない人も~【9月号】

 ふとテレビを見ていると、 テニスの四大大会、ウインブルドン選手権、車いすの部女子ダブルスで上地結衣選手とイギリス人選手のペアが3連覇を達成したと報じられていました。上地さんは、明石市出身で昨年のリオネジャネイロパラリンピックでも銅メダルを獲得され、世界の大舞台で活躍される姿がメディアに取り上げられました。試合後のインタビューでは、厳しい試合を勝ち抜いた達成感と新たな目標に挑もうとする心意を語られました。

 全盲の元中学校社会科教師である酒井雅和さんが、いくつかの地域の人権学習会で「見えなくなって、見えてきたこと」と題して講演をされました。社会科教師、野球部顧問として、活躍されていた酒井さんは脳梗塞を患われ、視力を失われた時、失意のうちに「死ぬこと」を本気で考える日々だったそうです。今では、障害のある人のカウンセリングに関わったり、市民マラソンに出場したり新たな挑戦をされています。

 先月18日には障害者野球で活躍され、「隻腕のイチロー」と称された岡原年秀さんの講演を聞く機会がありました。岡原さんは仕事中に右腕を機械に挟まれ切断するという大事故に遭われました。想像を絶する苦しみ、絶望の中から障害者野球と出会い、新たな夢に向かって歩み出すことができたと熱く語られました。

 上地さん、酒井さん、岡原さんの話の内容は異なるのですが、あるひとつの共通点があることに気づきました。それは、自分の夢に向かって挑戦されているということです。その姿に私は生きる勇気をもらい、心の中のやる気のスイッチがONになりました。

 それは、障害があるのに挑戦されている姿にではなく、、自分の夢や目標に向かって挑戦されている姿そのものに感動をしたからです。

 夢を語ることや目標に向かって挑戦することは、障害のあるなしに関わらず、誰にとってもいきいきと暮らす原動力になることを強く感じました。

互いの大切さを認め合える10年後を願って【8月号】

 6月28日に開催した市民じんけんセミナーでは、大阪市立大空小学校で9年間学校長を務められた木村泰子さんにご講演いただきました。

 当時の大空小学校には、様々な事情を抱えた子どもたちが居場所を求めて転校してきたそうです。不登校だった子、学習が苦手な子、思いをうまく表現できず手が出てしまう子。そのような子たちが同じ教室で学び、みんなで笑顔になる挑戦に密着取材したドキュメンタリー映画『みんなの学校』が公開され、大きな話題となっています。

 ところで、木村先生の考える「学び」には、「見える学力」と「見えない学力」があるそうです。「見える学力」とは、テストの点数として表すことのできる力のこと。「見えない学力」とは、子どもたちが10年後に必要とする生きる力のことだそうです。

 講演会の中、木村先生から、会場の参加者に一つ質問がありました。「西脇市の子どもたちが10年経ったときのために、今からどんな力を身に付けておくことが必要だと思いますか? 一つ答えてください。」

 すると、「自分のことを好きになる力」とある小学校の先生が答えました。別の先生は、「互いを認め合い共に生きる力」。地域の方は、「思いやりの力」と答えていました。

 会場から出された10年後への願いは、本市の人権教育で大切にしていることそのものだと思いました。

 これらを聴いた木村先生は、「見えない学力」を身に付けさせることは、学校だけではできません。地域・保護者・学校が対等な立場で願いや思いを伝え共有し、子どもたちを育てることが必要です。自分の子だけを見るのではではなく、周りの子にみんなで関わっていく。それが、西脇市の『みんなの学校』です」と答えられ、私たちに思いのこもったバトンを渡されました。

 自分の大切さと共に、他の人の大切さを認め合える10年後の西脇市を願って、まずは自分の思いを伝えることからやってみてと背中を押された気がしました。

木村泰子先生講演会

豊かなふれあいを通して【7月号】

 いつもの散歩道で、こども園の園児たちが、地域の方々と一緒にサツマイモの苗さしをしている姿を見かけました。きれいに整えられた畑で、サツマイモの苗を手に、泣きそうな顔をして苗をぎゅっと握りしめている子もいましたが、緊張しながらもわくわくしながら自分の番を待っていました。苗がさし終わった畑は、満足感いっぱいの笑顔にあふれていました。秋にはホクホクのおいしいサツマイモの収穫を楽しむことでしょう。

 子ども達は、様々な場面でいろんな人と触れ合い、多くの体験をして、豊かな心を育んでいます。お互いを大切に思う気持ちを育てることは、人権問題についての正しい理解と認識を形成する基礎を培うことや、いじめや差別を生まない人間関係の育成につながります。

 西脇市では、今年度も、小中学生が「人権」について学んでいく活動を企画しています。名前は「にしわきジュニアじんけん教室」と言います。6月から活動が開始しました。

  • 作物を育てることの大切さや収穫することの喜びを感じ、生命について考える活動
  • 障害のある方や高齢の方と一緒に活動し、共に生きることについて考える活動
  • 地域の活動にボランティアとして参加をする活動
  • 異文化料理づくり等を通して、様々な国の文化について学ぶ活動
  • 地元の旧跡を散策して、ふるさとを知り、ふるさとのよさを学ぶ活動

 これらの活動は一年を通して実施し、各活動の詳細については学校を通じてお知らせします。

 お子さまが瞳を輝かせて「どんな活動かな。やってみたいな。」とチラシを持って帰ってきたら、大きなチャンスです。迷わず参加させてあげてくださいください。きっと楽しい体験と素晴らしい出会いが待っていることでしょう。

 子ども達が、人権感覚を磨き、自分の住んでいる地域を好きになってくれる活動になるよう願っています。

人権文化にあふれる社会を創造するために【6月号】

 人権文化あふれる社会とは、一人ひとりが大切にされ、いきいきと輝いている社会です。私たち一人ひとりが人権感覚を磨き、意識を高め、人権が大切にされる社会をつくっていくために何が大切でしょうか。いっしょに考えてみましょう。

  1. 自分を受け入れる。

 欠点や短所も含めて、まるごと自分を受け入れ、自分のことが好きという感覚(自尊感情)を持つことが大切です。

 自分のことが好きになると、周囲の人を大切にしようとする感覚が芽生えます。

  1. 相手を思う想像力を育む。

 知らず知らずのうちに他人を傷つけてしまうことがあります。お互いのことを大切にし相手を思う想像力を育むことが大切です。

  1. 自他ともに大切にする。

 自分のことを優先して主張すると他人の思いを軽視することにつながる場合があります。自他ともに大切にしようとする感性を育むことが大切です。

  1. 支え合う心を持つ。

 人は一人ではなく、支え合って生きています。他人の人権を守ることが、自分自身の人権を守ることにつながっていきます。

  1. つながる命を感じる。

 私たちの命は祖先から受けつがれてきたものです。人間以外の生き物や自然環境の保護など地球規模で考え、かけがえのない命を未来にバトンタッチすることが大切です。

 私は、この5つのことを意識しています。それぞれのキーワードは「自尊感情」「想像力」「感性」「支え合い」「命」です。人権感覚を磨き、豊かな生き方をするために、いつも心に留めておいています。

 先日、外国籍の方や障害のある方との交流会に参加しました。交流会をとおして、お互いの違いを認め合い、自他ともに大切にすることの素晴らしさに気づき、これまで感じたことのない心地よい感情が芽生えました。

 国籍、性別、障害があるなし等にかかわらず、だれもが夢や希望をもっていきいきと生きていける社会をつくるため、さらに人権感覚を磨こうと思いました。

誰もが健康でいきいきと働ける職場づくり【5月号】

 現在、働き方改革の実現に向け、違法な時間外労働時間の規制やワークライフバランスを重視した職場環境の整備等について、政府で議論されています。このような改革がされるようになった背景には、未来のある若者が仕事に追われ、自らの手で命を絶った事件が関係しているのではないでしょうか。同じような過ちを繰り返さないためにも職場においてのメンタルヘルスについて考えてみたいと思います。

 厚生労働省が平成27年10月に実施した調査によると、働いている人の約6割の方が自分の仕事に関して強いストレスを感じていると答えています。ただし、ストレスというのは一概に悪いものではありません。一定の緊張感や刺激、負荷を乗り越えることで人はやりがいを感じるため、「やりがい」と「ストレス」は紙一重の関係だといえるのではないでしょうか。

 しかしながら、働いていく上で、仕事量や人間関係、クレーム対応、さらには仕事上での失敗や不安、配置転換での不満等様々なストレスに向き合わなければなりません。度を越えたストレスは時に心身を壊す原因にもなってしまいます。そういったストレスと、どのように付き合っていくのかということを職場内で考える必要があるのではないでしょうか。

 平成25年12月より、50人以上の従業員がいる事業所においてストレスチェック制度が義務化され、事業者はメンタルヘルスの必要性を理解し積極的に推進するようになりました。この制度の導入により、自らの状況を客観的に見ることができるようになり、様々なストレスへの対処方法を考えるきっかけになることが期待されています。

 ストレスと上手く付き合いながら、誰もが気持ちよく働くためには、職場内でのコミュニケーションを大切にし、一人ひとりが自他を大切にする気持ちを持つことも重要であると思います。一人で問題を抱え込まずに相談できる風通しの良い職場環境が働き方改革の実現につながっていくと思います。

すべての子どもに居場所のある学校を【4月号】

 新しい制服を身にまとい、新しい自転車で登校する中学一年生。色とりどりのランドセルを背負い、歩いて登校する小学一年生。新年度の幕開けとなる4月。それぞれの子ども達は、自分の夢や希望を胸に抱きながら、学校生活をスタートしたことでしょう。

 子ども達に出会い、思わず「頑張れよ!」「気をつけてな!」と声かける朝のひとときは実にさわやかな時間となっています。

 しかし、毎日、暮らしていれば、楽しいことばかりでなく、時には、学校がいやになるような辛くて苦しい経験をすることもあるでしょう。「でも、大丈夫。わたしがあなたを支えるから」と声をかけ、励ましてくれる友達がそばにいるそんな学校であってほしいと願います。

 先日、「すべての子どもに居場所のある学校をつくりたい」という強い願いのもとに産声をあげた小学校を舞台にしたドキュメンタリー映画「みんなの学校」を鑑賞する機会がありました。

 子ども達は障害、貧困、不登校など多かれ少なかれ、それぞれに様々な背景をもって暮らしています。この小学校ではそれぞれの子ども達に、校長先生をはじめすべての先生方が実にきめ細かく関わられていました。加えて、保護者も地域住民も一緒になって学校に集い子ども達を支え、一丸となって学校を創り上げようとされていました。その姿は、とても印象的でした。育つ環境が原因で子ども達が困っているのなら、その子ども達を私たち大人の手で何とかしようとされているのでした。

 その後の講演で、元校長は「学校の主人公は教師ではなく子ども。いつでもどこでも夢や希望が語れる学校を」「子どもは地域の宝。保護者も地域住民も、そして教員も一つになって子どもたちと向き合おう」と語られました。実践の中から生み出された言葉の一つ一つが心にしみました。「すべての子ども達の存在がありのままに大切にされる学校を」最後に聞いたこの言葉の余韻は今もなお心の奥で響いています。

この記事に関するお問い合わせ先

西脇市教育委員会 教育管理部 人権教育課

電話:0795-22-3111(代表)
ファックス:0795-23-8844
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