心のスケッチ(2018年度)

更新日:2021年03月31日

卒業式での一コマ〜子育てについて考える〜【3月号】

弥生三月。いよいよ今年度最後の月となりました。

先日、ある高等学校の卒業式に参列しました。会場の体育館には、卒業生の門出を祝う厳粛で凛とした雰囲気があり、背筋がピンと伸びる心地良い緊張感を覚えました。卒業生が入場するときの割れんばかりの拍手の余韻は、今もなお心に残っています。

式典では学校長をはじめ、来賓の方々から卒業生へ、心のこもった言葉が贈られていました。その一つ一つに温かい思いと、卒業生の将来への大きな期待が込められていることが分かりました。その中で心に残った詩がありました。それは、卒業生に愛情を込めてこれまで育ててこられた、保護者に向けてのメッセージでもありました。

乳児はしっかり 肌を離すな
幼児は肌を離せ 手を離すな
少年は手を離せ 目を離すな
青年は目を離せ 心を離すな

高校を卒業するわが子のこれまでを振り返りながら、さまざまな記憶や思いが走馬灯のようによみがえったでしょう。涙ぐみ、うなずきながら話に聞き入る保護者が多くおられました。

肌と肌で接することが大切な乳児期。手と手をつないで成長を見守る幼児期。自立へ向けて手を離すが、しっかり見つめることが大切な少年期。それぞれの目指す分野に羽ばたいていこうとするが、心を離してはいけない青年期。子どもと関わるそれぞれの時期には、大切にすべきことがあると改めて気付きました。

虐待によって親が子どもの命を奪う痛ましいニュースが連日報道されており、改めて「子育て」について考えました。社会の宝物である子どもたちが、夢や希望を持って毎日を過ごすためには、親や家族の役割が大きいことは言うまでもありませんが、周囲のサポートもまた、必要であると感じました。

子どもたちの明るいニュースで満ちあふれる社会であってほしいと願います。  

旅で感じた人のぬくもり【2月号】

今から20年前、私がまだ20代だったころ、「子どもの頃からの夢」を実現しようと、ある旅の計画をしました。

「50cc原付バイクで行く世界一周ひとり旅」…。

自分が知らないことを実際に見て経験したいという好奇心と、自分を成長させたいという願いを抱き、北・中・南米、アフリカ、中東、アジアの国々を訪れました。

オオカミの遠吠えにおびえながらテントで野宿をしたアラスカ。デモによる道路封鎖で、町から出られず一ヵ月間軟禁状態になったボリビア。50度を越える気温の中、ナイル川の水を飲みながら生き延びた砂漠の国スーダン。イスラム教とアジア、ヨーロッパの文化が混じり合う多様性に驚いたシリア。日本で生活していてはできない、さまざまな経験ができました。

中でも心に残っている経験は、初めて訪れる町で出会う人々の温かさと寛容さでした。町を訪れると、大抵現地の人たちから声を掛けられ、私の周りに人だかりができました。「どこから来た」「何をしている」など、さまざまな質問に答えていると、「家に泊まっていかないか」「ぜひ家族に会わせたい」と、誘いを受ける機会がたくさんありました。どのくらいの家庭に宿泊 させてもらい、お世話になったのか思い出してみると、40以上の国で50を超える家庭を訪れていました。言葉もままならない私の話に耳を傾け、「違い」を良さと捉え、遠い日本から来た私の存在をどの町でも丸ごと受け入れてもらえたことは、今思い出しても大きな喜びです。

最近、西脇市に就労や観光で訪れる外国の方と出会う機会が多くなりました。そのたびに思い出すのは、「家族に会わせたい」「あなたの国のことを教えてほしい」と、過去に旅先で声を掛けてくれた、「違い」に寛容な価値観を持つ人たちのことです。自分が他国で経験できた人の温かさを、西脇市を訪れる外国の方にも感じてもらうために、私たちに何ができるのか考えるこの頃です。

ランドセルの色〜性的少数者と私〜【1月号】

「おはようございます」と声を弾ませ、体が隠れるほど大きくてカラフルなランドセルを背負い登校する子どもたちに、毎朝出会います。ランドセルの色は私が子どもの頃は男の子は黒、女の子は赤と「決まっていた」ように思います。子どもたちを見て、かつて茶色のランドセルを子どもに持たせた親が「とてもおしゃれできれいだったので買ったのだけど、色が違うことでいじめに遭わないか」と心配されていたことを思い出しました。

「異性を好きになるのは当然だ」「心と体の性が異なることはない」との考え方が多い社会では、男性が男性を、女性が女性を好きになることや自分の性に違和感がある人は少数者です。このような人々は心無い偏見や差別に苦しみ、自身の性の食い違いに悩んだり周囲の好奇の目を気にしたりしています。また、自分が性的少数者であることを周囲に打ち明けるにも理解されるか不安でいます。最近、カミングアウト(表明)する人もいますが、逆に本人の意思に反してアウティング(秘密の暴露)する人がおり、落ち込んでいる人がいると聞きます。

少数と多数は相対的なものです。しかし、少数は多数の論理に影響され正しく理解されないことが多いように思います。人は多数に属することで安心感を覚え、反対に少数者は自分は「変わっているのでは」など自信を持てずに不安感を抱きます。先日、性的少数者に「何を期待していますか」と尋ねました。すると、「話をただ聞いてくれるだけでいいのです。それだけです」 と答えられました。存在を理解されることを望まれているようでした。

教育や啓発によって少しずつ性的少数者への理解が進み、その認知が高まってきました。 少数は個性的で魅力的でもあります。誰もが価値を認められ、自分の生き方に自信を持ち、安心して暮らせる社会でありたいと願います。

孫にはランドセルに男も女もない、自分の好きな色を選ばせたいと思います。

手話~伝わることのうれしさ~【12月号】

西脇市では、平成29年4月に「西脇市手話言語条例」が施行されました。多くの方に手話を言語として認め、手話への理解を深めてもらうために、市内のさまざまな場所で手話講座や交流会が開かれています。

地域で行われている人権教育推進員の定例会や町別学習会、市主催の「にしわきジュニアじんけん教室」などで、聴覚障害者協会と手話サークルの皆さんが、楽しく分かりやすく手話を伝えてくれる様子を紹介します。

初めに聴覚障害に関する○×クイズが行われます。「聞こえない」「聞こえにくい」 ということや、聴覚障害を取り巻く環境に関する質問に、参加者が身振り手振りで答えます。次にグループに分かれて聴覚に障害のある方を囲んで輪になり、手話であいさつや自己紹介の方法などを教えてもらいます。また、にしわきジュニアじんけん教室では手話の絵をノートに貼り付けて、自分だけの「ポケット手話ブック」を作りました。そして、手話だけでなく身振り手振りや筆談で意思疎通を図る交流も行いました。

 「楽しかった。手話ができるようになってうれしい」

これは、参加者の感想の一部です。始めは緊張している参加者が多いですが、表情豊かな講師の皆さんと接するうちに緊張が解け、自然と笑い声が漏れる笑顔が多い会になります。

手話は手の表現に合わせて顔の表情も伝えます。耳が聞こえない、聞こえにくい方とのコミュニケーションは難しそうに思えます。しかし手話を通して交流する中で、コミュニケーションの楽しさや伝わることのうれしさを改めて感じることができます。

市役所社会福祉課では、市民向けの手話講座を開催しており、参加者が5以上集まれば講師が出向きます。ぜひ、申し込んでみませんか。一人でも多くの方に手話への理解を深めていただき、笑顔が絶えないコミュニケーションが生まれることを願っています。

働くことの喜びを【11月号】

平成7年に生まれたA君は今年23歳です。特別支援学校の高等部を卒業後、生活介護型の作業所で5年働いています。彼の仕事は旅館などで使うタオルを畳んで袋に入れる作業や、贈答品の箱折を折る作業、商品にラベルを貼る作業などです。無遅刻無欠勤で元気に楽しく通所しており、毎月の給料も口座に振り込まれています。

働いていることで、彼は大変規則正しく日々を過ごしています。毎日午前6時30分に起床し、作業所の送迎車で出勤。午後3時30分まで仕事をして、作業所の車で帰宅します。夕食後は家族と一緒に楽しく過ごし、午後9時30分には就寝します。

今の彼の生活は、特別支援学校時代より落ち着いて過ごすことができているようです。 彼は高等部の3年間、就労のための訓練をたくさん受けました。最後の年はたくさんの作業所を回り、職場体験を繰り返しました。そして、卒業までに彼に合った作業所が決定しました。彼が作業所で働く5年間は、彼が生まれてから就労するまでずっと彼に寄り添ってこられた家族、特にお母さんにとって、社会参加を果たした彼を誇らしく、またうれしく感じる期間だったと思います。

障害のあるなしに関わらず、誰にでも働く権利はあると法律で定められています。彼は仕事を通して社会とつながり、そして彼の人生は豊かになりました。毎日家族に送り出してもらい、家庭や学校以外の場所に出掛けて、さまざまな人に出会います。そして自分にできる作業をして帰宅し、家に帰っても自分の時間を楽しんでいます。作業所で働くようになり、彼は心なしか笑顔が増え、表情が豊かになったように思います。全ての人が彼のように、仕事を通して誰かの役に立つことができ、生きることの深い喜びを味わえることを願っています。

11月23日は勤労感謝の日です。家族がお互いに、日々の生活をねぎらえる日にしたいですね。

「風」〜部落差別について考える〜【10月号】

ある人は頬をなでる風を温かく感じ、別の人は冷たく感 じます。でも風に温度を聞いても答えは返ってこないでしょう。なぜなら、それを決めるのは人だからです。

私たちは「優れている・劣っている」「強い・弱い」などのさまざまな基準で、他人を認識します。そして、認識が「あの人は〇〇だ」という偏見をつくることがあります。 部落差別はまさに、その人の本質に関係なく、排他的な偏見をつくっているのではないでしょうか。

ある葬式に参列したときのことです。参列者が女性を指差し、「あの人〇〇から嫁いできた人でしょう。でも私たちと全然変わらないわね」と話していました。明らかに指差した女性の出自を意識した発言です。そして、被差別部落に対する何らかの偏見を持って話をしていると思われます。

結婚は家族や親族に新たな絆が生まれ、子どもを授かることで命がつながる、人間の本質的な喜びです。しかし、そのことに夫婦の出自は全く関係ありません。この女性がどのような思いで参列していたのか、容易に想像できます。このような出自に関する偏見が、たくさんの人々を苦しめてきたのでしょう。

一方、ある結婚式に出席したときのことです。新婦が両親に宛てた手紙で「私は両親に感謝します。私が彼と結婚できたのは、どのような人と付き合っても相手を受け入れてくれた両親のおかげです」 と、感謝を述べていました。 この両親は新郎そのものを受 け入れ、世間体などに惑わされなかったのでしょう。それ以上に、娘の幸せを支えたいという家族の思いが強かったのだと思います。

このように出自にとらわれず、人がつながっていくことに喜びを感じる人が、以前に比べ増えたように思います。

私たち人間は、他人の意見や偏見に惑わされがちです。 だからこそ他人の本質を見る力を磨き、次世代に誇れる生き方をするべきではないでしょうか。

自然を愛し豊かな心を育てる活動【9月号】

6月初旬、青空の下で心地よい風を感じながら田植え体験を行いました。参加者は市内の園児や小中学生とその保護者、そして障害のある方や、外国籍の方など総勢100名です。グループごとに地域の皆さんから苗の持ち方や植え方を教えていただき、「大きくなあれ」と願いを込めて大切に苗を植えました。

これは「にしわきジュニアじんけん教室」の活動のひとコマです。体験活動を通じて子どもたちに、協力することの大切さや他者と触れ合う喜び、ふるさとへの愛着を感じてもらうことが目的です。市内の小中学生を対象に、年間を通して各所でさまざまな体験活動を行っており、昨年度は22回実施。合計で約1,200人が参加し、活動は笑顔あふれる充実したものでした。

中でも農業体験は、地域の皆さんが抱く子どもたちへの愛情や、地域への思いで満ち溢れていました。なぜなら地域の皆さんは、見えないところでさまざまな配慮をしてくださっているからです。例えば子どもたちがけがなく作業ができるための準備や、植えた苗が病気になったり虫に食べられたり、枯れてしまわないための日々の管理などです。

農業体験を終えた子どもたちは「お米は植えただけではできません。肥料を与えたり、雑草を抜いたりしないといけないので、農家の人は大変です。お米を大切に食べたいです」と感想を残しています。子どもたちが体験する農作業はごく一部ですが、地域の皆さんの思いは子どもたちの心にしっかりと届きました。

子どもたちは活動を通じて 命の大切さや感謝の気持ち、助け合う心を感じます。子どもたちが大人になったとき、きっと西脇市の自然や地域の皆さん、そして皆さんの笑顔を思い出してくれるでしょう。

教室では来年の2月まで自然体験や異文化交流、美化活動などを計画しています。ぜひ一緒に心の温度が上がる活動をしませんか。「自然を愛し豊かな心を育てましょう」(西脇市民憲章から)

つながっていく世代の糸【8月号】

先日2人の孫と一緒に、壊れて動かなくなったおもちゃ3点を修理してもらおうと、毎月第3土曜日にみらいえで開院している「おもちゃ病院」を訪れました。

作業場所の工芸室の中には、ボランティアで活動する3人の「おもちゃドクター」がいました。持ち込みは1人1点なので、3人が申込用紙を1 枚ずつ書きました。私たちは、普段訪れない初めての場所に不安を感じ緊張していましたが、ドクターの丁寧な「問診」や優しい対応ですっかり打ち解け、安心しておもちゃを託 しました。こどもプラザで遊んで帰るころには直っており、「治療費」は壊れたネジ代で必要な100円だけでした。

修理してもらったおもちゃは、電池で動く機関車、尻尾を振って鳴きながら動く小犬のぬいぐるみ、キラキラ光るお姫さまステッキでした。孫たちは家に帰って早速レールで機関車を走らせたり、子犬のぬいぐるみを動かしたりして遊びました。家族はかわいい犬のしぐさやステッキを振る孫の笑顔に癒され、幸せな気持ちになりました。同時に ドクターのまなざしと、うれしそうにおもちゃを受け取る孫のキラキラ輝く瞳が浮かびました。みらいえでの出来事は、壊れたおもちゃを直してもらうだけでなく、素晴らしい技に魅了された素敵な出会いになりました。

おもちゃ病院は全国約470ヵ所(平成25年/日本おもちゃ病院協会調べ)にあり、1407名(平成29年/同) のおもちゃドクターがボランティアで活動しています。おもちゃドクターの皆さんは定年退職してから活動を始めたという方が多く、それぞれが持つ得意分野や専門分野をお互いに教え合い、修理の腕を高めています。

自分の趣味や特技によってみんなに夢と希望を与え、社会とつながっているおもちゃドクター。修理したおもちゃを孫に手渡す姿は、まだまだ現役で活躍する皆さんと、これからの時代を生きる孫との間に、世代の糸をつないでいるようでした。

受け継がれる心の種【7月号】

通勤途中、小さな子どもとお父さんが手をつなぎ、笑顔で話をしながらこども園へ送る姿を見掛けることがあります。その子はお父さんの顔を見上げながら、飛び跳ねたり笑っていたりしています。仕事に向かう前の忙しい時間だと思いますが、親子の時間を大切にされていることが伝わってきました。私は、ふと目にした温かい光景に元気をもらいました。

私が子どもの頃は、共働きの両親が保育所へ送迎してくれていました。当時の私は、登園時に家族と離れることがとても不安で、ずいぶんと泣いてしまい、周囲の人たちを困らせてしまった記憶があります。何に対する不安だったのかよく覚えていませんが、自分でも理解できないような気持ちを感じていたと思います。

そんなとき、父は保育所の玄関の前でしゃがみながら、優しくにこっとほほ笑んで、「大丈夫。お父さんも頑張ってくるからな」と励ましてくれることがありました。

父と別れた後もしばらくは泣き続けることが多かった気がします。その一方で、「お父さんが頑張ってくるって言ってたから、僕も頑張らないと」と、自分の気持ちを必死で前向きにしようとしていたことが懐かしく思い出されます。

夜勤のため、3日のうち1日しか会うことができない忙しい父でしたが、朝のわずかな時を私と大事に過ごしてくれていたんだなと、その時間の重みを考えることがあります。両親が互いに家族としての役割を果たしながら、協力して子育てしてくれたことを、今になってうれしく思います。

家族のあり方はさまざまです。家族がそれぞれの状況や立場に配慮して行動することによって、より良い関わりが生まれ、その関係が温かい家庭をつくっていくのかもしれません。大人が言葉として伝えたり、行動として表したりする思いが、次の世代を担う子どもたちの心の種となり、西脇市の花となって大きく育つことを願います。

梅干しと私 ~高齢者について考える~【6月号】

「食べ物が腐る時期に、梅の木に実がなる」と幼い頃に祖父から聞いたことがあり、子ども心に感心したものです。近頃、高齢者とこのような会話をすることが少なくなったように感じています。西脇市では3世代同居の家庭が約4割と、高齢者と関わる機会が比較的あるようですが、つながりが少ないことから高齢者への関心が低くなり、誤った見方をしていないでしょうか。

「長患いをせずに亡くなってくれて良かったね。迷惑を掛けない。子孝行」という会話を耳にします。当人に悪気が無くとも、高齢者は「病気をしてはいけないのか」と生きていることに気を遣ってしまいます。また、ある集会では「枯れ木も山のにぎわいだから参加してください」と高齢者の参加を呼び掛けたところ、大きな問題となりました。高齢者は枯れ木なのでしょうか。

高齢者の中には体力や意欲などの低下、親しい人との死別、居場所や仕事を無くすなどで喪失感を抱え、死や病気への恐怖心を持ちながら生活している人もいます。

社会的なつながりの中では「古い」考えと否定され、若いことに値打ちがある風潮や、衰えに対する過度な気遣いで自尊感情が傷つきます。また、「何もしなくていいよ」と家族や地域から言われ、自己有用感を無くすこともあります。

しかし実際、高齢者は不安や悩みを抱えながらも力強く生きています。素晴らしい経験値と共に楽しみや希望を持ち自己を高めています。統計では8割以上の高齢者が精神的に健康であるといわれています。ストレスや体の不調があっても見事に心のバランスを取っています。高齢者をひとくくりにしてイメージすることはできません。

限りある一度の命を最後まで輝かせて生き、互いを価値ある人間としていつまでも認め合える社会であってほしいと思います。

「風邪をひきやすい冬の時期に、ミカンが実る」と、物知りな祖父が教えてくれた言葉が今でも思い出されます。

こどもの日に思う【5月号】

5月5日はこどもの日です。国民の祝日に関する法律には「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」日と定めてあります。

「こどもの幸福」について考えるとき、私が教員としてこれまで多くの子どもたちに関わってきたことの一つ一つが思い出されます。私の身近には多様な子どもたちがいました。

  • 朝ごはんを食べずに、おなかをすかせて登校する子
  • 親の過大な期待に応えることに必死になっている子
  • 家庭の事情で自分の夢を諦めている子

学校にはさまざまな子どもたちが通っています。それぞれに素直に学校生活を送ることができない理由があり、そのような子どもを前に思い悩んだことも多々ありました。

「自分なんかいなくなっても誰も悲しまへん」。ある生徒が発した言葉に大きなショックを覚えたことがあります。こんな思いを抱えながら、毎日を過ごしている生徒にどんな言葉を掛けたらいいのか分かりませんでした。ただただ、この生徒に寄り添って、思いを聞いていくと、少しずつ夢を語ってくれるようになりました。

子どもの可能性を信じ、思いに寄り添いながら関わりを続けていくと、誰もが心の奥底では自分の幸せを願っていることに気付かされました。

それぞれの子どもたちとの関わりの中で、どの子にも当てはまる共通点が見えてきました。それは「夢を語れるかどうかが大切だ」ということです。子どもたちが自分の将来を見据えて進路を切り開いていくために、将来の展望を持ち努力できる力を育てることが大事だと思いました。子どもたち自身が、自分の将来について考え、夢に向かって今をどう生きようとしているか。この視点に立って、目の前の子どもたちとじっくり向き合っていくことの大切さに気付きました。そして、このことが「生きる力」の原点になるのだと感じました。

人権教育推進リーダーと共に学びましょう【4月号】

桜花爛漫、新しいランドセルがまぶしい光を放つ季節がやってきました。職場や学校、地域などさまざまな場所で新しい出会いやつながりを実感されていることでしょう。

さて西脇市では、今年も14名の人権教育推進委員(以下、推進委員)と各町の115名の人権教育推進員(以下、推進員)が人権教育推進リーダーとなり、さまざまな活動を行います。推進委員は各種人権研修会に参加し、人権教育啓発に取り組む上でのスキルアップを図ります。そして、それぞれが学んだことを自分たちが主体的に取り組む定例学習会に持ち寄り、多様な人権課題について研究し、成果を発表します。

その活動のひとつとして、昨年度末に推進委員がオリジナルじんけん紙芝居『サーカスがやってきたよ!』を制作しました。紙芝居には推進委員の方々ご自身がこれまでの人権学習や生活の中で感じたり、悩んだり、考えたりしてきたことが絵と語りに込められています。作品では「人と人との温かいつながり」、「体験からの気付き」、「周りの人たちの生き方からの学び」、「気付きと学びから自分のこととして関わる行動」など、互いの存在を認め合い大切にされる社会であるために考えたいと思うことが表現されています。紙芝居の内容はこの広報と同時に配布する人権教育啓発冊子『ゆきちゃんからのメッセージ』の中で紹介していますので、ご覧ください。

また、今年も推進委員・推進員の方々が中心となって市内各地区の町別学習会や研修会、講演会を実施します。もしかすると、その中で皆さんにじんけん紙芝居を観ていただく機会があるかもしれません。ぜひご参加いただき、互いが尊重され、大切にされる地域やまちづくりについて一緒に考えていきましょう。

そして、これからも一人ひとりの人権が大切にされ、夢や希望を語ることができる西脇市であることを願っています。

 

この記事に関するお問い合わせ先

西脇市教育委員会 教育管理部 人権教育課

電話:0795-22-3111(代表)
ファックス:0795-23-8844
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