乳腺外科(乳腺外来)

更新日:2020年08月13日

乳腺外科から

乳腺外科部長 三輪 教子

 日本の乳がんの患者さんは年々増加しており、最近は11人に1人が生涯に罹患し、壮年期の女性の罹患数・死因ともに最多のがんです。こうした背景を踏まえ、当院でも2014年に乳腺外科を標榜しました。

 標榜以来、手術数・検診数ともに増えています。当科受診下さる理由は何よりも女医であること、そして乳腺専門医として日本乳癌学会診療ガイドラインに則った良質の医療を提供できていることや診断から治療(薬物療法、外科手術、放射線治療、進行再発乳がんの治療、緩和ケア)をすべて当院で行えることです。

 2012年に着任後、乳がんの年間手術数は10例から着実に増え、2014年の年間手術数は40例を越えました。最近2年間(2018年-2019年)の年間平均手術数は38例となりました(下図)。

当院での乳腺手術数の推移

 検診も年々増加し、直近の2019年度には町ぐるみ検診・協会けんぽ・人間ドック・乳腺ドックを含めて過去最多の900人の乳がん検診を行いました。多くの病院とは異なり、当院では検診の際にマンモグラフィと合わせて視触診をしております。マンモグラフィのみの検診では、欠像や高濃度乳腺のために見落としの可能性があるためです。欠像とは、マンモグラフィでうまくはさめないために撮影できない乳房の部分のことをいいます。

 また、高濃度乳腺とは、40歳代等乳腺が厚いためにマンモグラフィでは見落としの可能性が高い乳房のことです。当院の乳がん検診の乳がん診断率は全国平均の約2倍です(下図に日本乳癌検診学会の全国集計を示しています)。さらに、当院は精密検査実施機関基準を満たしております。検診・精査とも、安心してご受診ください。また、日曜日にも検診を受けられる、ジャパンマンモグラフィサンデー(JMS)を2019年度から開始しました。

乳がん発見率

 乳がんはほかのがんと異なり、比較的再発しやすく、早期で発見されても多くの場合に局所療法としての手術や放射線治療のみではなく、全身療法としての薬物療法が再発予防のために必要です。より良い予後のために、何よりも大切なことは、これらの治療法を、その患者さんの乳がんのタイプや広がり具合によって、最善の組み合わせで治療方針を立てることにあります。そのために最重要なのは、治療方針を日本乳癌学会の診療ガイドラインに則って立てることです。三輪医師は、2020年現在最新の日本乳癌学会診療ガイドラインの監修責任者である、昭和大学病院乳腺外科中村清吾教授のもとで診療ガイドラインに則った方針の立て方と多職種によるチーム医療でこれを安全に不安少なく実践することを学んで当院に赴任しました。現在も当院乳腺外科は、日本乳癌学会関連施設として、昭和大学病院乳腺外科の指導を頂いております。

(日本乳癌学会診療ガイドライン http://jbcs.gr.jp/guidline/2018/index/

患者さんのための乳がん診療ガイドライン http://jbcs.gr.jp/guidline/p2019/ )

 

 乳がんは長い病気です。10年生存率で治療成績を評価します。そのために患者さんは長きにわたって病気と向き合う必要があります。患者さん同士の励ましあいや医療者を交えた交流によって、不安少なく治療を受けていただくことが予後改善の大きな力となります。全国で乳がん患者会は多数ありましたが北播磨地方にはなく、初の患者会である「はなみずきの会」を2010年に設立し、正式な発足と初回の患者会の様子が神戸新聞に掲載されました。今年で10年となります。治療している病院を限らない全国でもユニークな患者会です。定例会・歩こう会・にしわき乳がん市民公開講座・がんについての啓蒙活動を行っております。詳しくは乳腺外科トピックスをご参照ください(この文章の最後に掲載しています)。

 

 当地方は高齢化が進んでおり、都市部と比べて乳がんの患者さんの平均年齢は10歳以上高齢です(三輪ら、日本医療マネンジメント学会、2019年)。そのため、高齢者や基礎疾患をもつ患者さんに特に考慮した安心な医療の提供を心がけています。お気軽にご相談ください。

 

 前任の昭和大学病院では、特に進行・再発乳がん(ABC)の診断・治療・緩和ケアについて学んできました。その背景から、ABC診療が使命であると考え、日々の診療や研鑽を積むとともに、ABCの国際会議(Advanced Breast Cancer International Consensus Conference)に当初から参加・発表しており、会議をもとにABC患者さんのためにABCグローバル連盟が設立され、その活動基盤となるABCグローバル憲章が制定されました。日本語版を三輪が担当しました(こちらでダウンロードできます。https://www.abcglobalalliance.org/abc-global-charter-2018-translations/ )。

 

 2015年4月より、折々の乳がんに関わるトピックスを発信しています。ご参考になれば幸いです(文責 三輪)。また、当科の治療成績等については、最後にPDFファイルで掲げる予定です。

 

 下記に、当科の特徴や治療成績、遺伝相談外来、セカンドオピニオン外来、乳腺ドックについてご紹介しております。

乳腺外科のトピックス

乳腺外科の紹介

 当院は国指定のがん診療連携拠点病院です。乳がんの診断から治療(薬物療法、手術、放射線療法、再発後の治療)を一貫して高いレベルで行っております。当院は日本乳癌学会関連施設(昭和大学病院乳腺外科と連携)であり、最先端の医療をアットホームな雰囲気で提供しております。

 また、当院では、マンモグラフィや乳腺エコーをすべて女性技師が担当しており、診察・検査ともに女性が担当いたします。安心してご受診ください。

 乳腺外科標榜とタイミングを合わせて、2014年5月より遺伝性乳がんの遺伝相談を始めていきます。詳しくは乳腺外科までお問い合わせください。

 より一層、全人的な乳腺診療に努めてまいります。

  1. 検査結果や治療方針と見通しについて時間をかけて説明し、患者さんに納得いただいて治療を進めていきます。
  2. 質問しやすい雰囲気での診察を心がけ、聞きたいことが聞けないことのないように努めていきます。
  3. 医師・薬剤師・看護師・理学療法士・ソーシャルワーカーのチーム医療で、できるだけ不安なく治療を進めていきます。
  4. 乳がん診療についての最新の情報を病院ホームページや市民公開講座等でお知らせしていきます。
  5. 乳がんのよりよい治療を目指して積極的に臨床試験に参加し、日本を代表する乳腺診療医と連携して治療を進めていきます。
  6. 当院を中心に開催の患者交流会「はなみずきの会」で患者さん同士の交流を深め、治療中の不安の軽減に努めていきます。
  7. にしわき乳がん市民公開講座(毎年11月開催)や西脇病院フェスタ等で、ひろく一般にも乳がんについての知識を広め、乳がん検診率向上を目指していきます。当院の乳がん診療を支えるいつつの連携

乳がん検診で要精査となった方へ

 日本乳癌学会・日本乳癌検診学会は、「精密検査実施機関における的確な診断を通じ、乳がんの早期発見と適切な治療を保障されることを目的として」平成26年7月に乳がん検診の精密検査実施機関基準を定めています。詳しくは、下記資料をご覧ください。

 当院は、この精密検査実施機関基準を満たしており、さらに、診察・画像検査ともにすべて女性(乳腺専門医・画像診断資格のある検査技師)が担当しています。安心してご来院ください。

遺伝相談外来 毎週火曜日

 乳がんは、ほかのがんと比べて遺伝性が疑われることが多い(~15%)。代表的な遺伝性乳がんは、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)であり、その主要な責任遺伝子はBRCA1/2です。これらの遺伝子に病的な異常があると、生涯に乳がんや卵巣がんになる確率が平均よりもはるかに高くなるのみでなく、ご自身のみではなくご家族にもその可能性が出てきます。HBOCであった場合、乳がんの治療方針にもかかわってきますし、発症前の予防的な乳房や卵巣の切除術が2020年4月より保険適応となりました。当院では、家族歴等のためにHBOCを心配される患者さんの相談窓口として、遺伝相談外来を開設しています。カウンセリングやBRCA1/2検査が可能です。

セカンドオピニオン外来 毎週水曜日

 当院は開設以来ずっと日本乳癌学会の診療ガイドラインに則った標準治療を行ってきました。また、日本乳癌学会関連施設として、昭和大学病院乳腺外科(中村清吾教授)にご指導いただき、地方にあって最先端の医療をアットホームな雰囲気で提供しております。新薬が発売となれば適応患者さんにいち早くお知らせし、処方を始めております。例えば昨年12月15日市販のパルボシクリブの処方を1月より開始しました。そして、昭和大学を中心とした専門医のつながりで新薬の副作用等についても情報を交換し、患者さんに不安少なく治療を受けていただけるように心がけております。  乳がんに限らず、診療ガイドラインに則った標準治療が最も効果が期待でき、かつ安全に行うことができるため、患者さんの予後がよくなります。しかし、乳腺診療を専門にする医師が全国的に不足しており、標準治療が困難な場合も少なくありません。標準治療からかけ離れた治療は、危険であり、予後不良につながり、患者さんへの不利益が生じえます。こうした背景から、セカンドオピニオン外来を開設しました。お気軽にご相談ください。

診療科の特徴と診療内容

1 乳腺担当医・マンモグラフィやエコー検査技師(読影資格あり)・理学療法士・病棟薬剤師・外来化学療法専門看護師がすべて女性!

2 日本乳癌学会・日本乳癌検診学会の精密検査実施機関基準を満たしています!

3 全国に先駆け、術後翌日からリハビリ+指導でリンパ浮腫はほとんどなし!

4 高い乳がん診断力~乳がん検診の乳がん発見率は平均の2倍以上!!

 西脇病院乳腺外来担当の三輪医師は、昭和大学病院で乳がんの薬物療法と緩和医療の研鑽を積み、2012年7月に着任以来、日本乳がん学会の乳がん診療ガイドラインに基づいて乳がんの診断及び治療を行っています。昭和大学病院等、多数の乳腺診療を行っている病院と連携を図るとともに、積極的に国内外の乳がん関連学会に参加・発表し、いち早く治療の進歩を知り、最先端の医療を地元西脇のアットホームな雰囲気の中で提供できるように努めています。

 乳がんの治療は、手術、再発予防の薬物療法、放射線療法の3つの柱で行われますが、当院は放射線治療施設を併設しており、診断から治療まで一貫して当院で治療を行っています。

 また、北播磨地域初の乳がん患者交流会”はなみずきの会”を立ち上げ、代表世話人として、当院を中心に、患者さんの不安を少しでも軽減するための活動を行っています。 さらに、リハビリテーション科と連携を密にし、手術入院時にリハビリテーションを開始するとともに、病棟ではビデオで乳がんについて学んでいただくなど、地域に根差した中規模病院ならではの、患者さんお一人おひとりに合わせたきめ細かい医療が、当院での乳腺診療の特徴であると思っています。

 三輪医師は、進行・再発乳がんの治療を特に専門としており、再発乳がんの世界初の国際学会で発表し、その折のレポートをインターネット上で公開しています(詳細は以下のPDF)。

 はなみずきの会は、2013年度より連続3回公益財団法人正力厚生会のがん患者団体助成対象に選ばれ、おかげさまで「にしわき乳がん市民公開講座」は地元に根付き、第6回目の2018年度には、日本対がん協会会長の垣添忠生先生に来ていただきました。今後も、連続講座として北播磨から乳がん診療についての情報発信を行っていきます。

  • 対象疾患 乳腺疾患全般(乳がんのみでなく、良性腫瘍、女性化乳房、乳腺炎等)。授乳期の乳房のトラブルについても、母乳外来と連携を取って診療にあたっています。
  • 治療実績(2012年1月〜12月) 乳がん診療数は、三輪医師の着任以降増加傾向にあり、特に2013年度から増加が著しく、2013年7月現在、前年度のほぼ倍となっています。 直近の2019年4月~2020年3月の新規乳がん患者数は50人、術後の治療・経過観察中が約150人、進行・再発乳がん治療数が約30人、年間平均化学療法数(延べ)は約500件と年々増加しています。このほか良性疾患、乳がん検診要精査、男性乳がん、女性化乳房症、乳腺炎等、乳腺疾患全般を診療しています。
  • 乳腺手術数(2009年〜2014年) 乳腺出術数は年々増加傾向にあり、当科がこの地域に定着し、一定の評価をいただいていることが伺えます。今後もなお一層努めてまいりますので、お気軽にご相談ください。

地域医療機関の先生方へ

 当科は、日本の乳がん診療をリードする医療者と連携を取って最先端の医療を行っています。遺伝性乳がんについても経験があり、是非ご相談ください。

 三輪医師は、西脇病院緩和外来の最初の担当医であり、その後も緩和医療について研鑽を積むとともに、緩和指導者講習を修了しています。現在も緩和ケアチームのメンバーであり、終末期に当たっての緩和的薬物療法や疼痛コントロールについてお悩みであれば、是非ご相談ください。

 何となく違和感がある、乳房痛がある等、ちょっとした自覚症状の陰に乳がんが隠れていることもあります。お気軽にご相談いただきますよう、心からお待ちしています。

医師紹介

乳腺外科医師紹介

医師

役職

資格

三輪 教子

部長

日本乳癌学会乳腺専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本内科学会認定内科医
検診マンモグラフィ読影認定医
検診乳房超音波読影認定医
家族性腫瘍コーディネーター
「緩和ケアの基本教育に関する指導者研修会」修了
「兵庫県緩和ケアフォローアップ研修会」修了
TNT(Total Nutritional Therapy Course)研修会修了
日本乳癌検診学会「第1回総合判定講習会」修了
新リンパ浮腫研修修了試験合格

『はなみずきの会』のご案内

 『はなみずきの会』は、乳がんの治療を受けている方々の会です。
 乳がんは、ほかのがんと異なり、比較的進行が緩やかで、また、手術のあとに再発予防のための薬物療法を長期にわたって行うのが一般的です。そのため、治療中に不安になったり、薬物療法の副作用に悩むことがあると思います。そういうときに、同じ病気の方と話をし、ともに病気や治療について学び、励まし合うことは、大きな力となります。
 ご一緒に励まし合い、ともに歩んでいきませんか?
 

 この会は、どちらの医療機関で治療を受けておられても入会していただけます。

 皆様の参加をお待ちしています。
 昨今、全国に乳がんの患者会がありますが、私たちの住む北播磨地区にはなく、この地区にも患者会をという声は前々からありました。そこで、2009年8月に、地域がん診療連携拠点病院である西脇市立西脇病院で、乳がん患者会の最初の集まりがもたれました。このときのご提案で、会の名前が『はなみずきの会』と決まり、これまでにリンパマッサージ、リハビリ体操等々を通じて、交流を深めてきました。

  • 日時:奇数月の最終土曜日 午後2時〜
  • 場所:西脇病院 外来棟2階
    入会をご希望の方は、会費1,000円(入会月〜その年の12月31日まで)を添えて開催日に会場へ直接お越しください。

 

お問い合わせ
西脇病院 乳腺外科 三輪まで
電話:0795-22-0111  (月〜木 13:00〜16:00)
ファックス:0795-23-0699
〒677-0043 兵庫県西脇市下戸田652-1

この記事に関するお問い合わせ先

西脇病院 管理課 総務担当
〒677-0043
西脇市下戸田652-1
電話:0795-22-0111
ファックス:0795-23-0699

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